6月21日、その後。
西湖を離れ、まだ夕刻。
少しばかりふくよかな自身の身体を、富士山さんの溶岩熱であたたたたたたたたためておこう。
小学生とか中学生当時、公害地区だった川崎市児童への罪滅ぼしとして新規に開催されたグリーンスクールの合宿地『富士緑の休暇村』の隣地に、日帰り温浴施設『ゆらり』を見つけた。
グリーンスクールとは結局、なんだったのか全く記憶がないが、緑の休暇村の記憶のみが海馬に残されている。
夏至の日暮れに赤富士が映える。
北斎も片岡球子も、きっとこの霊峰を眺めながら名作を仕上げたはずだ。
よって、おいらもマネしてみる。
否、真似してみる。
堀江謙一でもアラン・ドロンでもアルフでもないが、独りぼっちの甲信路、黒マーチはプラン通りに投宿先に向かう
名門ゴルフコース『富士クラシック』を小脇に抱えたホテルへの道のりは、西湖南岸の国道139号線から県道71号線へ入って、その後、ふたたび朝霧高原への国道139号線へも抜けられるショートカット道路の途上。
ロードサイドのレストランで食事を終え20時、すでに漆黒の一本道は、ナビを見ると両脇に「青木ヶ原樹海」の文字
富士山さんの裾野とはいえ、なだらかな登り坂に、かすかな霧が垂れ込める。
ヘッドライトをハイビームにしても霞む行方に、まるで両脇から青白いなにかが飛び出してきそうな様相。
知っている人しか理解できないたとえだが、ブラッドとジャネットがスコット博士を訪ねていったあの雨道のようなのだ。
雨は降ってはいないけど。
ホテルまではおよそ9kmの道のりが示され、ナビが0.1kmづつ数字を刻んでいく。
垂れ込める霧が深まってくる。
怖いよ〜
この怖さは、15年前、富士急ハイランドに新装された『戦慄迷宮』でお化けたち(中の人たち含む)に追いかけられた上、友人とともにすっころんでお化け(中の人含む)に襲われたとき以上の経験である。
情けないことに、その『戦慄迷宮』は規定時間に脱出できず、途中退場。
二度といくもんかなう。
ハンドルを持つ手にじわじわと汗が浮かんでくる。
恐怖逃れにできるだけ明るい曲をと、結局、マイブームな遊佐未森を流し続けたが、これも逆効果。
樹海からへんてこなダンスをする森ガールが飛び出してくるんじゃないかと、かえって疑心暗鬼ばかりが膨らんでいく。
時速60km、時間にしておよそ10分。
目的地までの距離が1kmを切って終盤、ようやく後方からヘッドライトが現れて、後方からおいらの行先を明るく照らしてくれる。
1台でも同じ方向を目指すクルマがあれば心強い。
目的地まであと500m、どうしたことかナビゲーターの誘導がぐるぐると回転を始めた
車内に流れていた遊佐未森も突然、中島みゆきに曲目が変わっていた
《樹海ではGPSが誤作動する》という噂は本当だったようだ。
とはいえ、一本道を往けば間違いはない。
ふとバックミラーから、後方を走る一期一会の運転席を見ると、そこには髪を振り乱し蒼白顔の貞子さんが、運転しながらシートベルトを外しだしている。
今にもフロントガラスをぶち破って襲ってくるかのような・・・(続く)

頭にかぶるハンズフリー傘「アタマンブレラ」爆誕 カメラや釣りなど両手を使いたいシーンに
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=128&from=diary&id=5167098
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