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2018年06月04日23:58

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本●「成田三樹夫遺稿句集 鯨の目」

本●「成田三樹夫遺稿句集 鯨の目」(無明舎出版)

読了。

先月読み終えた「脇役本」で成田三樹夫の「鯨の目」が今でも入手できることを知った。
「鯨の目」は初版のときに買い求めていたが、引っ越しをくり返すうちに行方不明になっていた。
再読はもう無理かと思っていたらところが「脇役本」によると今でも重版をくり返しているという。
ということで27年ぶりの再会だ。

子どもの時分から大映の悪役・成田三樹夫の顔と名前は知っていた。
きっとテレビの「ザ・ガードマン」のせいだろう。
大映が潰れて東映に出だすと、冷酷だけでなく、どことなくユーモアを併せ持つような役柄が多くなった。
私だけでなく『仁義なき戦い』シリーズを見て彼のファンになった人は多いはず。

成田三樹夫が実はたいへんな読書家で、詩作や句作に励んでいたことは、27年前にこの本を手にするまでまったく知らなかった。
公家姿で「〜おじゃる」と気味の悪い笑いをあげる彼からは想像ができない。
本書には句といっしょに読書ノートと思われる書名のメモがたくさん登場する。
「空間への機能から様相へ」(岩波書店)、「精神の生態学」(思索社)などなどタイトルからして難しそう。

遺稿句集ということで、癌での闘病中に詠まれた俳句が掲載されていた。

身の痛みひと息づつの夜長かな
咳きこんでいいたいことのあふれけり

いわゆる自由律俳句というのだろう。季語や五七五にこだわらない句が多い。
まったく門外漢なのでよく分からないが、好きな句をひとつ。

山坂に動かぬ人一人見ゆ




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