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2018年05月25日01:06

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映画日記 『いぬやしき』

2018年5月23日(水)

『いぬやしき』(2018年)
佐藤信介:監督
名駅・ミッドランドスクエアシネマ2

コミックは読まないので、原作についてはまったく知識がない。
タイトル名から、てっきり“狂った犬神様の怨霊が棲む館”みたいなホラーマンガだと思っていたら、予告編を見るかぎり違うみたいだ。
時間が合うのがこれしかなかったので見に行った。

木梨憲武扮する犬屋敷という名の定年間近のダメおやじが主人公。
会社では年下の上司から足手まとい扱いされ、少ない稼ぎと老けた見かけから家族からもうとまれて居場所がない。そのうえ、ガンで余命わずかだ。
そんな犬屋敷が唯一の話相手である捨て犬の花子ちゃんと夜の散歩に出かけた公園で、突然奇っ怪な光に包まれてしまった。どうも光の正体は宇宙人らしい。
朝、目覚めた犬屋敷は体の変調に気づいた。
なんと自分の体が鋼鉄サイボーグになっているではないか。
そういえば、公園にはもうひとり、少年がいたはずだ・・・・

見どころはクライマックスの空中戦。
新宿の高層ビル街を善の犬屋敷とダークサイドに堕ちた悪の少年・獅子神、2体の鋼鉄サイボーグがびゅんびゅんと飛び回る。
これはこれで面白かったが、全体的には乗れなかった。

このイマイチ感はどこから来るのか、ない知恵をしぼって考えてみた。
本作をてっとり早くまとめると“ダメおやじが発奮してヒーローになる”という話だ。
犬屋敷と同じようにガンで余命わずかなダメおやじが発奮するといえば、黒澤明の『生きる』が真っ先に頭に浮かぶ。志村喬が演じた渡辺勘治だ。
肉体を使って闘う父親といえば、『フライ,ダディ,フライ』の堤真一がいる。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』のコン・ユも、肉体はマ・ドンソクまかせではあったが、とにかく弱いながらも必死で闘う父親だった。
起承転結はそれぞれことなるが、発奮するダメおやじがヒーローになるというのは、きっと映画における定番のひとつだ。

それなのに、犬屋敷にいまいち共感できなかったのは、宇宙人から授かったパワーがあって初めて闘うことが出来たからだ。
そのパワーは、自力で、七転八倒し、恥をかきながら手にしたものではない
犬屋敷という奇妙でキモカワなキャラクターは若い人たちには面白いのかもしれないが、彼とほぼ同年代の私には、あまり感心できなかった。
たとえるなら、年金生活者として、ちまちまと暮らしている仲間内から、ひとりだけ宝くじが当たって、女性同伴で世界一周旅行に旅立っていった知り合いを、指をくわえて見送るみたいな感じ。

『娼年』に続いて、また愚痴になってしまった。



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