GW最後の日曜日、柳ヶ瀬で見た3本目。
名古屋で見逃していた1本、この日の本命だ。
2018年5月6日(日)
『THE PROMISE/君への誓い』(2018年)
テリー・ジョージ:監督
岐阜柳ヶ瀬・CINEX
ときは1910年代、オスマン帝国時代にトルコの山あいの寒村から、アルメニア人の青年・ミカエル(オスカー・アイザック)が医師を夢見て、首都イスタンブールへやってきた。
入学した医大で、徴兵逃れのために医学生になった気のいいトルコ人の青年・エムレ(マルワン・ケンザリ)と知り合い、勉学とともに華やかな都会の暮らしをエンジョイしていた。
いっぽうでミカエルは下宿先の家庭教師をしているフランス帰りのアナ(シャルロット・ルボン)というアルメニア人女性にほのかな恋心を抱く。
しかし、アナにはクリス(クリスチャン・ベイル)というアメリカ人ジャーナリストの恋人がいた。ミカエルもまた故郷にマラル(アンジェラ・サラフィアン)という純朴な許嫁がいた。
ある夜、意気投合した4人は、酒とダンスの楽しい一夜を過ごす。
そんな4人の前に、第一次世界大戦の暗雲が迫ってきた。
オスマン帝国はドイツ側につき、一気に戦時モードになっていく
と同時にトルコ人たちの中に差別的な民族意識の高まりが、アルメニア人たちへの弾圧と殺戮が始まってしまう。
アナを巡るミカエルとクリスの恋のさやあてと、ミカエルへのマラルの純愛、そしてミカエルとエムレの民族の壁を越えた友情が、荒れ狂う戦争と暴力の時代に巻き込まれていく・・・・
大力作。
オスマントルコで起きた100万から150万人といわれるアルメニア人虐殺を題材にした映画だ。
本作を見なければ、アルメニア人虐殺も小説家のサローヤンがアルメニア人であったことも知らずに終わった。
啓蒙的な映画なわけだが、陰惨で堅苦しい映画になってしまうところをメロドラマにしているのがいい。
もちろんトルコ人によるアルメニア人の大量虐殺を糾弾しているだけの映画でもない。
なにかのはずみで、ジェノサイドを始めてしまう人間への普遍的な警鐘だ。
激動する時代の中でのメロドラマといえば『ドクトル・ジバゴ』や『ライアンの娘』のデヴィッド・リーン監督がいる。
本作を見ながら、デヴィッド・リーンみたいだな、と思った。
そういえば、このあと巨大だったオスマン帝国は崩壊していくことになる。
その過程のなかでオスマン帝国からアラブ独立を勝ちとる戦いを描いたのが『アラビアのロレンス』になるらしい。
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