映画を見ない日の出来事 189
明日から1泊旅行だ。
早く寝なければならないのに、バスの時刻表を調べたり常備薬をそろえたりと、さっきまでごそごそとしていた。
実は旅行そのものより旅支度の時間がいちばん楽しいかもしれない。
なかでも、デイパックにどんな本を詰めていくのか、毎回思案のしどころだ。
目的地の歴史について書いた本、なんてものは読まない。
ほとんどが軽い紀行エッセイやミステリーだ。
大きさも重要なポイント。
どうしても文庫か新書になってしまう。
ということで、今晩セレクトしたのは次の3冊。
1冊目は「日本軍兵士」(吉田裕 中公新書)。
ラジオで荻上チキが誉めてたのでさっそく購入し読み始めたら、あっという間に半分まで読みすすんだ。旅行中に読了するつもり。
2冊目は「死者におくる花束はない」(結城昌治 小学館)。
文庫や新書より少し大きめの軽装版というのだろうか、よくコンビニで売ってるザラ紙を使った厚いわりには軽めのつくりの本だ。
中味はコメディタッチのハードボイルド。
こちらも少しだけ読んでみたら、昔の日活映画みたいな雰囲気で、すいすい読めそう。
3冊目で悩んだ。
まずは、たかが1泊旅行に3冊も持っていっても、読めないだろう。
これまでも本を持って行ってはみたものの、景色に夢中になってほんとんどページを開かなかったことのほうが多い。
2冊で十分と思ったが、気分的にはやっぱり3冊だ。
他人にはどうでもいいようなことだが、妙なところで見栄っ張りになってしまう。
最近文庫本で出た、結城昌治のミステリー短編集「あるフィルムの背景」(ちくま文庫)にしようと思ったが、2冊目と著者がかぶってしまう。
いまいちばん集中して読みたい「戦時下の日本映画」(古川隆久 吉川弘文館)という本があるのだが、いかんせんハードカバーでそこそこ重い。
あれこれと本をデイパックに入れては出してと比較して、ようやく3冊目を決めた。
「飛田ホテル」(黒岩重吾 ちくま文庫)。
思わず「渋い!」と、自画自賛のチョイスだ。
しかし、きっと旅行中に読むことはないだろうな。
それでもいいと思う。
読まなくても、旅行に持っていきたい本というのはあるものだ。
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