2017年2月16日(金)
『奇跡の丘』(1966年)
ピエル・パオロ・パゾリーニ:監督
NHKBSプレミアム【録画】
マリアの処女懐胎から始まり、ゴルゴタの丘で磔刑に処せられながらその三日後に復活したイエス・キリストの生涯を描く。
キリスト教徒でないので、ありがたみを感じる映画ではなかったが、圧倒的な映像美には感心してしまう。
モノクロで撮られた乾いて荒涼とした大地に、ボロをまとった貧民たちがうごめく。
きっと田舎の素人の住民たちをエキストラにしてるのだろう。
はな垂れ小僧や鼻くそをほじってる小さい女の子がウロウロする。
すきっ歯の爺さんや婆さんの顔にはハエがたかっていた。
『ベン・ハー』みたいなハリウッド製の宗教映画とは異なるクソリアリズムだ。
そんな多くの民衆の前で、キリストが頭に妙ちきりんな冠をかぶり着飾った祭司や学者といった支配層を公然と糾弾する。
激昂するキリストがまるでレーニンだった。
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