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2018年02月03日01:36

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映画日記 『古都』

2017年2月2日(金)

『古都』(1980年)
市川崑:監督
日本映画専門チャンネル【録画】

山口百恵の引退記念映画。
彼女が引退して、そろそろ40年になるのか。

昭和20年代の京都を舞台に、生まれたばかりの頃にゆえあって離ればなれになった双子の姉妹の、邂逅と別れの物語。
織物問屋の店先に捨てられていた赤子は子どもに恵まれなかったその家の夫妻によって千重子と名付けられ、何不自由ない暮らしの中で大事に育てられた。
祇園祭の夜、千重子は人混みの中で自分とそっくりな少女と出会う。
すぐさまふたりは自分たちが生き別れになった双子の姉妹であることを知った。
彼女の名は苗子。
双子が古い因習から忌み嫌われたために千重子は捨て子となり、苗子は親元に残った。
しかし、木こりだったふたりの父親は、仕事中に墜落死し、母親も苗子が小さい頃に若くしてこの世を去った。
身寄りのなくなった苗子は、幼くして北山杉の山地主のもとで奉公人となっていた。

かたや老舗問屋のお嬢さん、かたや化粧もせずに毎日汗まみれになって山仕事に精をだす下女だ。
生まれは同じでも、育ちや暮らしぶりがことなるふたりは、互いに相手の立場を気づかいながら連絡をとりあった。
そして、千重子からの強い誘いもあって、苗子がひと晩だけ千重子の家に泊まることになる。
ふたりは生まれてはじめて姉妹として忘れられない一夜を過ごす。
その夜、京都に初めての雪がふりだした。
翌朝、北山に帰る苗子に千重子が「いっしょに暮らそう」と口にした。
しかし、苗子はなにも言わず静かに首を横にふり、早朝の朝もやの中に消えていった・・・・

実は百恵・友和映画を見たのは今夜が初めてだ。
アイドル映画と馬鹿にしてたことが恥ずかしい。
とくにラストの幕切れがすばらしい。
苗子ともう二度と会うことはないと悟った千重子が、育ての母である岸恵子の元に駆け寄り泣き崩れる。
千重子の、そして見る者の切なさが絶頂に達した瞬間に「完」の文字がかぶる。
『おとうと』を彷彿とするラストだった。

この終盤を見てたら、中野量太監督の長編デビュー作『チチを撮りに』(2013年)を思い出した。
ひょっとしたら影響を与えていたかもしれない。

山口百恵が一人二役だ。
町屋のお嬢さんと山仕事にくれる奉公娘を見事に演じ分けている。
ふだんなら見過ごしてしまうメーキャップ技術の勝利だった。
千重子の育ての親に扮した岸恵子と三代目實川延若の掛け合いも見どころだ。

北山杉は見たことがない。
いちど訪れたいものだ。



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