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2017年11月19日03:44

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映画日記 『全員死刑』

『ブレードランナー〜』に続いてもう1本。
『孤高の遠吠』の小林勇貴監督が撮った商業映画デビュー作。
待ちに待った1本だ。

2017年11月18日(土)

『全員死刑』(2017年)
小林勇貴:監督
笹島・109シネマズ名古屋

とある地方都市に、組の看板を掲げてヤクザ稼業をしている夫婦と息子ふたりの4人家族がいた。この家族、とにかく金がなくて首が回らない。
そこで親子4人が協力して、知り合いの闇金屋の女主人を強殺しようとするのだが・・・・

なんとも雑で無計画な殺人事件の顛末だったが、これは実話。
カッコよく言えば日本版の『冷血』だが、苦笑の連続だった。

狡猾な長男のサトシ(毎熊克哉)にそそのかされて、いつの間にか事件に巻き込まれてしまった次男のタカノリ(間宮祥太朗)が主人公。
最初は乗り気でなかったタカノリが、シャブの力も借りてしだいに“凶気”をエスカレートしていく。
そんなタカノリを長男だけでなく父親(六平直政)と母親(入絵加奈子)も当てにするようになる。
息子たちに嫌な仕事を押しつける父親と母親に、『仁義なき戦い』の金子信雄と木村俊恵の山守夫婦が重なった。
オープニングの音楽、菅原文太のポスター、川谷拓三の息子・仁科貴の登場と、あきらかに本作は東映実録映画への強い傾倒を見ることができる。

タカノリと同棲中のカオリが、彼が言いだした「家族」とか「絆」という言葉尻をとらえて、まるでEXILEの歌みたいねと茶化すシーンが出てくる。
先日見た映画を思い出して、笑ってしまった。
ワル映画の若き作り手である小林勇貴監督も、EXILEには????なのだろうか。

捨て鉢な雰囲気のカオリを演じた清水葉月という女優さんがとてもいい。
ラストのクリスマスソングと、清水葉月が放つひとことに大爆笑だった。

女優さんといえば、長男の内妻を演じた女優さんもよかった。
腕に極彩色の刺青で登場する。その腕が妙にエロい。
唐獅子牡丹がそうであるように、刺青ひとつが映画における立派な造型力だ。
彼女のハミ乳も見どころだ。

そして、長男のサトシを演じた毎熊克哉だ。マイグマカツヤと読む。
ひと目見て、監督がワルのメッカ・富士宮から連れてきた「ホンモノ」かと思った。
狡そうな悪い目つきで、主演の間宮祥太朗や大先輩の六平直政を食うこと食うこと。
家に帰ってネットで検索したら『ケンとカズ』(2016年)に出ていた。
注目株。

陰惨な題材とはうらはらに、見終わると痛快な気分だ。
弱冠27歳の小林勇貴が、現時点で持てるものすべてを出し切った1本。
誰にも媚びない若さと潔さを断固支持する。

傑作。



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