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2016年07月03日22:06

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《アート》ギャラリートーク2題

未踏だった美術館2つ。
ふとした切っ掛けで訪館アート

1つめ指輪
フォト
《原美術館『みんな、うちのコレクションです』》★4.
都会の異空間。
目黒庭園美術館を小ぶりにしたような洋館は、戦前に建てられた原家の私邸。
昭和54年から現代美術をテーマにした美術館として一般に開放された。
この日は某雑誌からの招待を受けて、18時からのナイトミュージアム+副館長からのギャラリートーク。
入口を入ったチケット売り場の横手に、息を潜めて展示されている小さな黄色いかぼちゃ2体。
げっそり
いきなり、草間彌生作品とご対面である。
草間彌生については、過去の愚者日記『熊本』『松本』『瀬戸内』『湯河原』『新潟』『福岡』『六本木』…(略)

ギャラリートークが始まるまでの間、20人程度の招待客が自由に作品を拝観してまわる。
印象派のようなため息のでる作品は一つもない。
まるで、ある地点におけるトリエンナーレの芸術祭。
デジタル数字のインスタレーション、宮島竜男作品が小部屋に点滅する。
横浜トリエンナーレのディレクターを受けて、不本意な大失敗の烙印を押し付けられた森村泰昌作品は、ここでは一番光っている。
微笑ましい奈良美智のアトリエは、原家の納戸だったのかな。

副館長の登場で、40分のギャラリートークが展開する。
現代アートならではの解説は、作品がもつ深層心理まで暴き出し、興味が倍増した。

退館時に初めてここの入場料を知った。
1,100円。
あれれ、ちょっと高い気がしたぞ。
高輪ホテルの裏手、閑静な高級住宅街の一角にありながら、駐車場が無料という黒マーチホルダーにはありがたいサービスであるのは間違いないが、徒歩組にとっては駅から高台へ15分のロケーションは、高齢者には少し辛そうだ。
ところで、群馬県伊香保温泉にここの姉妹店があるという。
これは行かねば車(セダン)

2つめ指輪
フォト
《ちひろ美術館『村上春樹とイラストレーター』》★5.
東京都内にありながら、まったく縁がないと思っていた絵本を中心に蒐集された美術館。
いわさきちひろ…もろちん、パステル調の少女の絵は知っているが、深い知識はなにもない。
ましてや、彼女が55歳で早逝したことや、ご主人は共産党の有名な議員・松本善明氏であったことなど知る由もない。

訪館のトリガーは村上春樹。
フライヤーに描かれた『風の歌を聴け』が、おいらを練馬区などという大根タウンに誘いこんでいた。
原美術館同様、こちらも無料駐車場。
最近の黒マーチはローコストで都内を走り回っている。
それほど多くない入観客とともに、文庫本割引でチケットをいただいた。

展示室は4つ。
1つ目は、いわさきちひろの世界。
知らない作家さんなのに、1つ1つの作品をじっくりと堪能する。
2つ目は2階に上がって、村上春樹イラストレーターのうち、佐々木マキと大橋歩。
まず、ここで驚いたのは佐々木マキが男性だってこと。
羊男は彼が書いた作品だし、『風の歌を聴け』から『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』のそれぞれの表紙が佐々木マキ。

2つの展示室を後回しにして、クレヨンハウスのような図書館で絵本を眺めていたら館内放送で「ギャラリートークが始まるよカラオケ」のアナウンス。
半分の作品を観てしまったあとだけど、参加しない選択肢はない。つまり、参加だ。
ハルキストの王様、王女様のような15人ぐらいの集団に紛れ、エセ・ハルキストがちょこっと参戦。
担当のキュレーター・原島さんが美しい。
トークよりも原島さんの立て板に水が流れ出すステキなくちびるを眺めていたので、ほとんど情報が頭に入ってこなかったけど、とても重要な展覧会のマスターピース↓
フォト
館内展示作品は当たり前のように撮影禁止なので、フライヤーから解説するが、この作品のオリジナルには、書籍ではタイトルで隠されていた数字やローマ字がすべて見通せる。
港の倉庫に書かれた数字「8」「2」「6」は、『風の歌を聴け』小説内の話が終わる8月26日を示している。
そんなカルトな情報を、村上春樹本人が所蔵していたオリジナルから読み取れる。

それにしても、原島さんはすごい。
いわさきちひろに関する解説は当然だけど、村上春樹に対する造詣まで深い。
一度でいいから、おいらに爪の垢を煎じて飲ませて欲しい。
じかに爪を舐めさせていただいてもいい。

所詮、30分程度で一回りできるだろうと考えていた《ちひろ美術館》。
45分のギャラリートークを含め、滞館時間は驚きの3時間15分チューリップ
蛇足だが、ワイフさんだったら3分でクリアするほどの美術館であるのにだ。
いつもなら立ち寄ることもないカフェに寄る。
フォト
村上春樹展記念メニュー《コーラ掛けホットケーキ》ブタ

文庫本なら『風の歌を聴け』99ページ。
「鼠の好物は焼きたてのホット・ケーキである。彼はそれを深い皿に何枚か重ね、ナイフできちんと4つに切り、その上にコカ・コーラを注ぎかける・・・」

カフェの店員が、間違いなく視線をおいらの手元に注いでいる。
彼女たちの内心が聞こえてくる。
「ほんとに買ったよげっそり」

焼きたてで、きちんと4つに切られた美味しそうなホット・ケーキを眼前に、手に持ったコーラ瓶を上から注ぎ込む。注ぎ込まなきゃいいのに。
出来上がった不気味な食物。
東西南北、どちらから眺めても美味という二文字が浮かんでこない。
1切れ、フォークに刺して口へ運ぶ。

まずい。
げっそり

この時ほど、鼠を恨んだことはない。

珍しく図録が欲しくなるほど完成された展覧会だった。
いわさきちひろの魅力にも触れることができて、練馬区も大根だけではないことを52年にして初めて知る事になる1日だった。



げっそり「歌舞伎ルーム」備えたホテル
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=4074884
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