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2015年10月09日23:33

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文芸大聴講〈文化と芸術C〉第2回〜世紀末芸術

10/8(木)、静岡文化芸術大学の授業〈文化と芸術C〉の聴講第2回。

テーマ;世紀末芸術
講師;上山典子

20世紀の音楽について考えるのが、この授業の目的だが、20世紀に入るにつけて、その前に世紀末芸術を押さえておく必要がある。

世紀末は何世紀にもあるのが理屈だが、一般的に「世紀末」と言うと、それは19世紀末の事に限定する。
そして、19世紀末と言っても、文化は算数のように切れるものではない。諸説はあるけれども、1900年を挟む20年程、というのが世紀末文化を指す期間として妥当なところだ。

「世紀末」なる表現は、パリで上演された風俗喜劇『Fin de siècle(世紀の終わり)』に由来するらしい。

世紀末というと、転換期に特有の終末観、不安感、来るべき時代への期待、等いろんな要素が入り混じる。背景には、産業革命に続く急速な技術発展についていけない人心の閉塞感があったのではないか。
世紀末芸術の特徴を以下に整理してみる。

・現実に背を向けるような、反リアリズムの傾向。
・装飾性、幻想性、象徴性豊かな作品が多数輩出された。
・デカダンス(退廃)に根差す唯美的世界とほぼ同義。
・死とエロスへの拘り。
・社会通念から逸脱した退廃的なテーマやモチーフ。
・男性的英雄でなく、妖しい女性像が支配。

世紀末芸術は、視覚的要素が強い。オペラであっても、器楽の音に多彩なオーケストレーションを求めた。

◆代表的な画家はグスタフ・クリムト(1862-1918)

世紀末芸術を反映した中心人物。

1897 伝統的アカデミズム批判、「ウィーン分離派」を形成。
1898 第1回ウィーン分離派展開催

アカデミズム批判と新派形成は、印象派と全く同じ。1874年第1回印象派展。
が、ウィーン分離派は一層急進的だった。

作品の特徴。
装飾的、官能的、甘美で妖艶。その背景に、常に死の影が見え隠れする。
ex.《ユディト�機�1901 旧約聖書外典より題材。エクスタシーの表情。
ex.《ベートーヴェンフリーズ》1902 交響曲第9番終楽章を絵画化。
ex.《アデーレ・ブロッホバウアーの肖像�機�1907銀行家の妻(クリムトと私的交流があったらしい)の妖艶な表情。金箔の使用。
ex.《接吻》1908 金箔の多様。
ex.《乙女(処女)》1913 7人の女性の絡み合う構図。金箔を使わなくなる。晩年期様式。
ex.《死と生》1911-16 最晩年迄修整し続けた。

◆文学者オスカー・ワイルド(1854-1900)

戯曲『サロメ』の作者。
アイルランド生まれ、劇作家、小説家、詩人等、溢れる才能。
→オックスフォード→パリへ。

「世紀末文学」というと、一般的には19世紀末のイギリス文学を指す。
その特徴は、伝統的な社会の道徳規範からの逸脱、唯美主義への極端な傾倒、退廃的傾向。

『サロメ』は世紀末耽美主義、退廃文学の代表的作品。
他に、ex.長編小説『ドリアン・グレイの肖像』等。
ワイルドは、芸術至上主義をパリ社交界における実人生で実践。作品もさる事ながら、人生そのものが芸術至上主義とも言える。

『サロメ』
新約聖書のマタイ伝第14章から題材を取った。

1891 仏語で書かれた。
1894 英訳版出版。
1896 戯曲、パリ初演。反モラルを指摘されロンドンでは上演禁止。ベルリンでも公演。

ワイルドとダグラス卿(ロード)の写真(1893撮影)。
1891年、37歳時に、16歳年下のダグラス卿と出会い、同性愛に。
32歳時には前例、15歳年下の少年とも同様の関係になっている。
ダグラス卿は、『サロメ』の英訳を行った。
ダグラス卿の父侯爵、ワイルドを猥褻罪で訴える。ワイルド投獄。全財産没収。出獄後はパリを彷徨う。死因は梅毒。

世紀末芸術の象徴としての『サロメ』
・異国的香りを発散。
・美しい外見(16歳の設定)と妖しい魅力。且つ、罪と死の影を宿す。
・蘭熟した官能性と清らかさの不思議な混合。
・哀愁と謎めいた沈黙。
・夢のような非現実性。

英語版にはオーブリ―・ビアズリーが挿絵を描いた。

◆リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)

ワイルド原作の『サロメ』をオペラに作曲。1903-05年。
1幕者、独語。上演時間約95分。

予言者の生首に16歳のサロメがキスをするという、退廃芸術の極み。
管弦楽の音楽は、色彩的で、濃厚な官能を感じさせる。煌めくような鮮やかさ、しかし、その裏に死が存在する。

舞台設定;紀元30年頃のパレスチナ。エルサレム、ヘロデ王の宮殿。1夜にして場所も同じ。
登場人物;
サロメ 16歳の王女。
ヘロデ 兄を暗殺し、ヘロディアスと結婚してユダヤの王となった。サロメの義父でありながら、欲望を持つ。
ヘロディアス ユダヤの王妃。サロメの実の母。
ヨカナーン 予言者(洗礼者ヨハネがモデル)。
ナラボート ヘロデ王の衛兵隊長。サロメを守る役割。

視聴DVD;
2007年ミラノ・スカラ座公演
演出 リュック・ポンディ
指揮 ダニエル・ハーディング
サロメ ナージャ(またはナディア)・ミヒャエル
ヘロデ ピーター・ブロンダー
ヘロディアス イリス・フェルミリオン
ヨカナーン ファルク・シュトルックマン
ナラボート マティァス・クリンク

これ迄歌劇『サロメ』は4度観ているが、DVDや放送によるもので、残念ながら生ではまだだ。
以下は、同じナージャ・ミヒャエルがサロメを演じた別の公演のレポート。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1741268666&owner_id=3341406
 
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