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2015年07月19日01:50

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映画日記 『君も出世ができる』

2015年7月18日(土)

『君も出世ができる』(1964年)
須川栄三:監督
岐阜柳ヶ瀬・ロイヤル劇場

驚きの大傑作!!!
50年前に作られた和製ミュージカルだ。

東京オリンピックを目前にして、外国人観光客を取り込もうと躍起になっている旅行会社が舞台。
すべてが出世第一主義のやる気満々男の山川(フランキー堺)、彼の後輩で出世よりもタクラマカン砂漠へ行くことを夢見るのんびり屋の中井(高島忠夫)、そして、社長の娘でアメリカ帰りの合理主義者の陽子(雪村いずみ)の3人が主役。
ライバル会社との熾烈な外人顧客の獲得合戦を背景に、男ふたりが味わう会社勤めの哀感と、このままでは婚期を逃しそうと恋と仕事のはざまで揺れ動くキャリアウーマンの物語。
はたして、男たちは出世できるのか。」
そして、女は恋のチャンスを掴むことができたのか・・・・・

色好みの社長(益田喜頓)とその若いお妾(浜美枝)、何ごともイエスマンの管理職たち(有島一郎、十朱久雄、藤村有弘)といったサラリーマン社会を風刺した作り。
あきらかに『社長シリーズ』のような1960年代の東宝サラリーマン映画を踏襲していた。
といっても、作詞・谷川俊太郎、作曲・黛敏郎による、れっきとしたミュージカルだ。

古い映画なので、今から見ると「オイオイ、それはいかんだろう」と突っ込みたくなるセリフや歌詞や設定が出てくるが、これはご愛敬。

とにかく、群舞シーンが素晴らしい。
その一端はYouTubeでも見ることができるのだが・・・・
https://www.youtube.com/watch?v=9h-40-Y-zOg

このシーンを、パソコンの小さな画面ではなくて、大きなスクリーンで見ることができたとは幸運なことだ。
やっぱり大きなスクリーンで見ると迫力が違う。

そして、どうもYouTubeには投稿されていないようだが、終盤に出てくるフランキー堺を中心に酔っ払ったサラリーマンたちが夜の丸の内か銀座の大通りで繰り広げる群舞がこれまた素晴らしい。
道路いっぱいに、画面の手前から奥までぎっしりと埋まった、ワイシャツ姿のサラリーマンたちが踊っている。
よくもまあ、これだけきちんと踊れるダンサーを集めてきたものと感心するやら、あきれるやら。
ダンスシーンの出来としては“アメリカでは”より上と見た。
振付を関矢幸雄という人が担当している。この人の名前は覚えておこう。

いっぽうで、雪村いづみと高島忠夫が交わすラブソングシーンにもうっとり。
すっかり暗くなったリゾートホテルの庭園に、かがり火がともっている。
フィルム上映だったせいか、しっとりとしたビロードのような夜の雰囲気が心地よい。

アッと驚くカメオ出演者や、どんぴしゃりに決まったラストのストップモーションも見どころだった。

上映が終り明るくなった場内で、老年カップルの男性が連れの女性に向かって「どうや、良かったやろ」と言って、自慢気な顔をしていた。
きっと若い頃に見た本作を、長年連れ添ってきた奥さんと見に来たのであろう。
奥さんとおぼしき女性は、もちろん「うん」とうなずいた。



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