2015年4月26日(日)
『イーダ』(2014年)
パヴェル・パヴリコフスキー:監督
東新町・名演小劇場
モノクロの画面が美しい。
孤児として、ポーランドの修道院で育てられた少女・イーダの物語。
身寄りのないイーダが、俗世に背を向け修道女になろうとしたとき、修道院の院長から思いもよらないことを告げられた。
「あなたには、今も生きている叔母がいる。修道女になる前に、ひと目、唯一の親族である叔母に会っておきなさい」
院長から教えてもらった住所を訪ねると、そこには確かに、イーダの叔母は住んでいた。
しかし、その叔母は、アル中で男漁りの絶えない中年女だった。
イーダの気持ちがしぼんでいく。
彼女はそんな叔母といっしょに、自らの出自を探す旅に出るのだが・・・・
傑作だった。
ヒロインのイーダを演じたアガタ・チェシェブホフスカと、叔母役のアガタ・クレシャのコンビが素晴しい。
アガタ・チェシェブホフスカが二階堂ふみにそっくりだった。
となると、捨て鉢な共産党員のアガタ・クレシャは、さしずめ桃井かおりあたりになりそうだ。
イーダが、力強く歩き出すラストシーンが印象に残る。
『パプーシャの黒い瞳』(2015年)
ヨアンナ・コス=クラウゼ クシシュトフ・クラウゼ:監督
東新町・名演小劇場
ポーランドに実在したジプシーの女性詩人・パプーシャの物語。
かつてのジプシー社会では、読み書きをすることが、忌み嫌われていた。
そのような価値観をもつ集団の中で、パプーシャは子どもの頃から文字に興味を持ち、少しずつ読み書きを身につけていった。
やがて、彼女はジプシーの暮らしや自らの心のうちを詩にして綴るようになるのだが・・・・
パプーシャは言葉を知ったがゆえに、よりどころであるジプシー社会から孤立し、愛する息子からも見放されてしまう。
言葉がパプーシャにもたらしたのは、『奇跡の人』のヘレン・ケラーとは対極の苦難に満ちた人生だった。
老いたパプーシャが人知れず手を振って、心の底から愛していた男に別れを告げるラストシーンが胸にしみる。
『イーダ』と同様に、こちらも美しいモノクロ画面だ。
たくさん見ているわけではないが、ポーランド映画にはモノクロがよく似合う。
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