mixiユーザー(id:6810959)

2015年04月13日23:58

250 view

映画日記 『わが青春に悔いなし』

2015年4月13日(月)

『わが青春に悔いなし』(1946年)
黒澤明:監督
日本映画専門チャンネル【録画】

戦前の京大・滝川事件とゾルゲ事件を下敷きにした映画。

ひとりの法学部教授に降りかかった、当局からの思想弾圧に「学問の自由を守れ!」と立ち上がった学生たちが、抗議運動をしばし忘れ、束の間のピクニックに興じた。
白いブラウスがまぶしいひとりの若い女性が、詰め襟の学生たちに混じっていた。
弾圧された教授(大河内傳次郎)の娘・幸枝(原節子)だ。
彼女が山道の水溜まりかなにかで、進めなくなったとき、ふたりの学生が同時に手を差し出した。
野毛(藤田進)と糸川(河野秋武)だ。
迷ったあげく、幸枝は野毛の手にゆだねた。

月日が流れ、軍部が台頭する暗い時代がやってきた。
糸川は貧困から抜け出すために学生時代の節を曲げ、今は検事となり、なにかと羽振りがいい。
いっぽうの野毛は、数年間の獄中生活からようやく出ることができた。
なんやかやがあって、幸枝は二人から求愛される。
そして、彼女は今度もまた野毛を選ぶのだが、幸せは長くは続かなかった。
野毛は、スパイ事件に連座し、獄死してしまう。

幸枝は遺骨を手にし農家を営む野毛の実家に向かう。
スパイの家として、村八分にされた亡き夫の家に入り、嫁として老いた父母の助ける。
村人たちの嫌がらせにもめげず、かつてはピアノを弾いていた手に鍬をもち、黙々と田を耕し稲を植えた。
白かった彼女の風貌も、陽射しにさらされる野良仕事で、浅黒く、たくましい顔になっていく。
そして、戦争が終わった・・・・

少し前に見た、黒澤明が戦中に撮った『一番美しく』と対になっているような作品。
かたや国策映画、本作は直前までとっぷりとつかっていた軍国主義への訣別を描いている。
ただし、今から見ると、2本とも生硬で教条的だ。

原節子は、あまり好みでないので、きれいと思ったことがない。
しかし、本作の彼女はときおり、とてもきれいに見える。
男性的と言われる黒澤映画だが、けっして、そうは言い切れないと思った。

ところで、原節子はまだ存命なのだろうか。



5 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年04月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930