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2015年04月09日01:24

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映画日記 『剣侠江戸紫』

2015年4月8日(水)

『剣侠江戸紫』(1954年)
並木鏡太郎:監督
チャンネルNECO【録画】

新東宝映画ということで、しょぼい時代劇を想像していたら、見事にうっちゃりを喰らった。
日本映画黄金期の1950年代というのは、脆弱な経営基盤であったはずの新東宝でさえ、こんな立派なセットを組み、沢山のエキストラを使った時代劇を作っていたのかと、驚いてしまう。
とはいえ、本作は新東宝製作開始7周年記念映画という。それだけの意気込みがあったのかもしれない。

時は江戸時代、町奴の幡随院長兵衛と旗本奴の水野十郎左衛門の確執に、白井権八と花魁の小紫の悲恋が絡む物語。
いい歳をしながら、実は今夜初めて、彼らの物語を知ることができた。
幡随院長兵衛に大河内傳次郎、水野十郎左衛門に嵐寛寿郎、ぞろりとした白井権八を演じたのは大谷友右衛門、小紫を山根寿子が演じていた。

敵役を演じた嵐寛寿郎がうまい!!!!
アラカンが痩身で白塗り、酷薄で神経質そうな顔立ちになって登場する。
世をすねた人物ながら、幡随院長兵衛の男振りには一目を置き、貧しい出自であるひとりの腰元を愛惜するという、複雑な役を見事に演じていた。
わずかな本数しか見ていないが、私にとっては、本作は嵐寛寿郎のベストだ。

白井権八に扮した二枚目の大谷友右衛門という人は、どこかで見たことがある。
ネットで検索したら、数年前にテレビ放映で見た市川崑監督の『天晴れ一番手柄 青春銭形平次』(1953年)で平次を演じていた役者だった。
歌舞伎に疎いので、まったく知らなかったが、彼は後に四代目中村雀右衛門を襲名し、
女形の大御所として人間国宝になった。

本作は作られた1954年といえば黒澤明の『七人の侍』が公開された年。
『七人の侍』は今もその名を残している。
いっぽうで『剣侠江戸紫』のタイトルは、今夜見るまでまったく知らなかった。

日本映画の世界は、ホント、奥が深い。



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