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2015年04月05日02:15

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映画日記 『愛して飲んで歌って』

シネマスコーレで『くちづけ』を見た後で、岐阜へ向かった。

2015年4月4日(土)

『愛して飲んで歌って』(2015年)
アラン・レネ:監督
岐阜柳ヶ瀬・CINEX

名古屋で見逃してしまったアラン・レネ監督の遺作。
若い頃に見た『二十四時間の情事』と『去年マリエンバートで』で、爆睡の深海に沈められてしまったので、それ以来、彼の映画を見ることはなかった。
最近は、作風が変わってきているらしいので、かつてのように爆睡することはなかろうと思って岐阜まで行ったのだが・・・・
実は、中盤でちょっとだけ寝てしまった。

「ジョルジュ、ガンで余命半年だってよ」

突然舞い込んできた、中年男のガン宣告に、彼の古くからの友人である二組の夫婦と、元妻と現在のパートナー、この三組のカップルが巻き起こすひと悶着とその結末の物語。

『桐島〜』同様に、ジョルジュは最後までスクリーンに登場しない。
そして、このジョルジュはとても女性にもてた男だった。
ジョルジュの最期を看取るのは誰なのかで、ひとりの男を巡って女三人の恋のさやあてが始まる。
そんな女たちに振り回される男たち。
男女6人が繰り広げる痴話喧嘩が延々と続いていく。
そして、ジョルジュの最期を看取ることになる女性とは・・・・?!

享年91歳というから、アラン・レネが90歳の頃に撮った作品だ。
その実験的な舞台装置には驚いてしまう。
新藤兼人監督の晩年作と同様に、撮影現場で精力的に動き回ることが出来なかったのだろう。
しかし、老齢というハンデを跳ね返す斬新さに溢れた作品だった。
“金がなくても、面白い映画を作ることはできる”とよく言うが、“歳をとっても、面白い映画を作ることはできる”のだ。

映画は、ジョルジュが不在のままに、中年男女6人の芝居で進んでいく。
その6人がスクリーンから退場した後のラストシーンに、初めて16歳の少女が登場する。
第二次世界大戦を経て、ナチスを告発する『夜と霧』、ヒロシマをテーマにした『二十四時間の情事』を撮った監督の最後のシーンが、16歳の少女であることは、けっして偶然ではないと思った。

老いた映画監督が少女に託したものとは、きっと、希望なのだ。



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