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2015年04月04日23:58

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映画日記 『くちづけ』

2015年4月4日(土)

『くちづけ』(1957年)
増村保造:監督
駅西・シネマスコーレ

名古屋のシネマスコーレで増村保造監督特集が始まった。
上映される5作品は、いずれもすでに見ているが、もう一度見たい作品ばかりだ。
先陣を切ったのは、増村保造のデビュー作『くちづけ』だ。

吉永小百合と浜田光夫、和泉雅子と山内賢、山口百恵と三浦友和。
日本映画における青春スターの名コンビというのが何組かある。
本作を見たら、野添ひとみと川口浩のコンビこそ、実は最強だったのではと思う。

典型的なボーイ・ミーツ・ガール映画。
しかし、二人の出会った場所は、海や山や学園や、まして小洒落たレストランなどではない。
夏の盛り、それぞれの父親が収監されている、小菅刑務所の面会所が二人の出会いの場だった。
やせ衰えた父親の姿にオロオロと泣く少女(野添ひとみ)に、収監されても居丈高の自分の父親にうんざりしていた青年(川口浩)が恋をする。
ひょんなことから手にした大金で、ふたりは湘南の夏を満喫した。
たがいに連絡先を食堂のナプキンに記し、交換するのだが、青年はもらったナプキンをなくしてしまう。
少女のことをあきらめきれない青年は、雨降る町を歩き回る。
そして、タイトル通りに再会した二人のくちづけが、映画のクライマックスになる。
野添ひとみの「ひとこと、私を愛していると言ってほしい!!」のセリフに、グッとくる。

日本映画のくちづけといえば、『また逢う日まで』の久我美子と岡田英次によるガラス越しの静かな接吻になる。
本作のみずみすしい躍動感あふれるキスシーンは、それを超えていた。
敗戦を経て、やがてやって来る高度成長期を予感するようなシーンだった。

本作に続き、週替わりで『暖流』、『巨人と玩具』、『大悪党』、そして『遊び』と続く。
いい4月になりそうだ。


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