「しんぼうは降伏の拒絶である」(ガイローネ)
世に三日坊主という言葉がある。わたしなど三日どころか一日坊主である。善いと聞いたことはすぐに思い立って試しにやってはみる。が、長続きはしない。善いことさえ続かぬ人間に、辛いこと、または悪状況をじっと辛抱するという強固な意志などあるわけはない。 夫の三浦光世はその反対に極めて辛抱強い人間である。前にも書いたが、腎臓結核で膀胱炎を患った時、会陰部は、くぎぬきでねじり上げられるような激痛の連続であったという。その激痛の最中に三浦は、「一分ならがまんできる」 と思って、一分刻みに辛抱したという。
人生には辛抱しなければならないことは沢山ある。夫婦の間でも、嫁姑の間でも、職場でも、辛抱しなければならないことが沢山ある。「もう、がまんできない」と投げ出し逃げ出したところで、再び他の場所で他の事柄でがまんしなければならないことが出てくるものだ。辛抱すべきことは辛抱しなければならない。(綾子)
(三浦綾子『太陽はいつも雲の上に』)
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