漫画、アニメ共に不動の名作なので、その実写化はそもそもハードルが高い。
だから、まず挑戦したことを評価。次いで、なんとかここまでやれたということを評価する。駆け足の語り口になってはいるが、ジョーと力石の物語として、ちゃんと映画たりえている。
賛否が分かれるであろう丹下段平の仮装は、予告の段階から個人的にはアリだと思っていた。やらなきゃやらないで非難されただろうから、とことん特殊メイクで固めたのは正解だったはずだ。また、香川照之の演技のアプローチも柳葉敏郎の真田志郎に対するそれと同じベクトルであり、大変力が入っていて良かった。
伊勢谷友介の力石も良い。あの鋭い眼光を放てる役者をよくキャスティングできたものだ。スーパーマンのクリストファー・リーヴ、加藤保憲の嶋田久作とまで言うのは過剰だが、まぁ彼に力石を演じさせることが、今の時代に「あしたのジョー」を実写化した一つの意義であるということくらいは、言っても罰は当たるまい。
試合のシーンは、迫力のあるカットもあれば、ハイスピード撮影が逆効果になっているカットもあると思うが、概ね悪くない。
ジョー・力石戦をクライマックスに持ってくる構成は予告から知れてはいたが、力石の死後の描写に割く時間が思ったより多かった。続編を作らないことを前提にして、かつ力石の死からジョーが立ち直ることを示唆して映画の幕を閉じるために必要な尺だったのだろう。とはいえ、ここがちょっと長過ぎるんだなぁ。
漫画、アニメにあったシーンがカットされても脳内補完できるけど、見たことないシーンが追加されると、よほど上手く作らないと違和感ばかり強調されると思うんだわ。
ただ、基本的に漫画やアニメの実写映画化の中では、トップクラスのクオリティだと思うので、気になる人は劇場へ行くべし。
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