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2026年05月02日17:27

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映画『砂丘』ミケランジェロ・アントニオーニ~1

シネマイーラ浜松にてミケランジェロ・アントニオーニ(1912-2007)の1970年作品『砂丘』を観る。

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作者が意図したにせよ、意図していないにせよ、映画が、異邦人(よそ者)がアメリカという国をどう見たかという作品になってしまう事は、充分に注意しなければならない。

イタリアの巨匠アントニオーニは『夜』(1961),『赤い砂漠』(1964),『欲望』(1966)で、それぞれベルリン,ヴェネツィア,カンヌ国際映画祭で最高賞を獲得。アメリカのMGM(メトロ・ゴールデン・メイヤーズ)に招かれ、完全に自由な予算(*)を与えられ次作を初めてアメリカで制作する事となった。
 (*)結果的には700万ドルをかけた。
1968年から足かけ3年を費やしてできたのが『砂丘』である。原題は『ザブリスキー・ポイント』。「ポイント」は「岬」と訳せばいいだろう。

大学の民主化を求めて学園紛争が勃発したカリフォルニアの某大学の一室で、学生らの議論が白熱している。そもそもの紛争の目的、基づく思想、人種差別や人権の実態、改革手法等々について、話し合いは錯綜・空転し、一向に結論を見ない。この場にいたマークは、嫌気が差して部屋を飛び出る。
そうこうする中、大学当局は警察を校内に引き入れた。
学友や一部教師達は拘引されて警察に拘置される。
友人の保釈を求めてマークは警察署に赴き、無理やり中に入ろうとすると、彼も拘置されるハメに。
名前を問われ、マークがふざけて"カール・マルクス"と答えると、警官に洒落は通じず、調書の氏名欄には"Carl・Marcus"とタイプライターで打ち込まれた。マルクス経済学の"カール・マルクス"のスペルは言わずもがな、"Karl・Marx"である。

釈放後、マークと友人は、銃ショップで拳銃を求めようとする。店主は法律をかたに販売を断ろうとするが、近隣の事件の自衛のため、家族の女性を護るためと主張すると、あっけなく手に入れる事ができた。

ロサンジェルス中心街のビル群には巨大な広告看板が林立する。資本主義、大量生産・大量消費、物質主義の高度に進展する都市。
忙しそうに歩き回るサラリーマン達の目には、それら広告も目に入らない。近くの大学紛争に興味を持つ者もいない。
不動産開発会社サニーデューンズの重役らは砂漠に建設予定の新たなリゾート型住宅のTVCMをチェックしている。
その一人アレンは出社するなり、秘書にダリアが出しているかと問う。来ていないと言われると、探せ!と命令。会社のTVCMよりダリアの事が気になるらしい。ダリアはアルバイト雇用?アレンの私設秘書?
開発しようとしているリゾート型住宅はいかにもブルジョワ層をターゲットとしていて、TVCMではマネキン人形を使い、夢のある新しい都市生活をエンジョイする人々を映し出す。そこにはプールがあり、テニスコートがあり、ゴルフコースがあり、若い白人男女の家族が笑い興ずる。アメリカンドリームは物質によってこそ達成される。
しかし、アレンにはダリアが出社してこない事が気がかりだ。

大学のキャンパスでは衝突が激化している。
警察と学生らは遂に正面からぶつかる。催涙ガスが撒かれ、銃撃で流血する学生達の姿も目に入る。
マークが校舎の陰から購入したばかりの拳銃を警官に向けようとした時、別の方向から銃声がしてその警官が倒れる。
マークは驚き、慌ててキャンパスから逃亡する。
バスを乗り継いで郊外へ。

アレンにダリアからようやく電話が入る。
何処にいるのか問われたダリアは、アレンの車で、サニーデューンズと取引先との会議が行われるフェニックスに向かっていると言う。この会議にはアレンも出席する。アレンはひと安心。
ダリアの方は開発計画にも会議にも興味はない。運転は、知らない土地へのドライブを楽しむ程度の思いだ。
フェニックスは合衆国南部アリゾナ州の州都だが、周囲は砂漠が広がる。サニーデューンが計画している開発都市もフェニックスの近くに立地されるのだろう。

マークはバスを降り、裏手から飛行場の敷地内に入り込む。
様々な小型飛行機が並ぶ中で、ドアの開いている古いプロペラのセスナ機を見つけ乗り込む。
周囲にいた整備士らは、飛行機の所有者と思い込んで注意しない。
マークはエンジンをかけ、滑走路の方へ入っていく。
管制塔は滑走路を逆走するセスナを発見して慌てるが、マークの乗ったセスナは注意を聴かず勝手に離陸していく。
マークに飛行機操縦の経歴があるのかどうか、映画は無視。
マークは心地好い表情で飛行を楽しむ様子。セスナは東へ、機影はすぐに小さくなる。

ダリアは高速道路の巨大なインターを出て、砂漠の真ん中を通る一本道を高速で走っていく。
マークはしばらくして地上の道路を走る車を見つける。
コースを大きく曲げ、低空を飛び、車を運転するのが若い女だと気づく。
マークは旋回して車のすぐ上を超低空で飛ぶ。驚くダリア。
何回かそれが繰り返されるうち、ダリアもセスナの窓からこちらを見る若い男に気づく。
ダリアは怒りを忘れ、男がふざけているのだと認識し微笑む。
マークは赤いティーシャツをセスナの窓から投げ下ろす。
ダリアはそれを拾いに車を走らせた。

マークも道路脇に着陸し、セスナを降りて、ダリアの方へ歩いていく。
二人は初めて顔を合わせ会話を交わす。互いにちゃんとした自己紹介をする事もなく、ただ何となく気が合う。
ダリアはマークを車に乗せ、東へ走りだす。

(続く)
 
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