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2026年04月23日11:00

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「チュルリョーニス展〜内なる星図」 / 国立西洋美術館~2/end

(続き)

◆第1章「自然のリズム」

1907年に帰国する迄ワルシャワを拠点としたチュルリョーニスだが、彼にとっては祖国の豊かな自然が創造の源であり続けた。
しかし、彼にとっての自然は、写実的描写の対象となるよりも、その生命感が抒情的気分あるいは象徴的意味合いを籠められて描かれる。
チュルリョーニスは特に自然の動的な移ろいと循環のプロセスに関心を寄せた。それは殆ど抽象的表現に辿り着く場合もあった。

《冬》8点の連作より��(全て1907)
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同��
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同��
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冬の諸相を表した連作。
繰返される運動と静止、それは生成と消滅に通じて、世界の創造の壮大な物語に凝縮・昇華していく。

◆第2章「交響する絵画」

絵画と音楽の融合というテーマでは、チュルリョーニスは色彩による共感覚でなく、音楽の構造を絵画の構造に応用しようとした。ここに彼の独自性がある。
連作という形式により、空間芸術である絵画に時間の流れを導入しようとした。

《第6ソナタ(星のソナタ):アレグロ》(共に1908)
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《同:アンダンテ》
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当初4楽章を構想したようだが2楽章のみ描かれた。
2つの絵は、一条の水平の帯 天の川によって貫かれている。
第1楽章《アレグロ》では、銀河の霧を思わせる半透明の帯が波打ちながら惑星や星々と交差し、混沌から調和のリズムを生み出す。
中央の円錐は、宇宙の秩序を統合する天使がその頂きに小さな姿を見せる。
第2楽章《アンダンテ》は、第1楽章の内の1惑星世界のクローズアップか。幾何学的な構図によって厳粛さが強調されている。
最上部には超越的な叡智を象徴する黄金の三角形を背に、天使がもの思わし気に天の川を歩いている。
リトアニアの伝承では、天の川は死者の魂が歩む道で、その彼方で魂は生き続けるとされる。
画面の右上では天使の残像が反復され、魂の旅が永遠に続く事をサジェストしている。

本章では、チュルリョーニスが書いた楽譜を展示し、彼が作曲した音楽の一部を聴かせてもくれる。

◆第3章「リトアニアに捧げるファンタジー」

20世紀初頭にロシア帝国が弱体化、リトアニアでも民族解放の動きが生まれ、チュルリョーニスもその運動に身を投じた事は先に触れた。

《祭壇》(1909)
画像はレポート1の冒頭に貼付した本展チラシをご覧頂きたい。
巨大な祭壇はピラミッド状の4つの階段からなり、見える壁面には8つの場面が描かれている。太陽,雷,塔,橋,騎士,天使などチュルリョーニスお馴染みのモチーフが組み合わされ、下から上へと象徴的な物語が展開している。それは騎士の旅に仮託した人間の精神の旅であろうか。階段というモチーフそのものも、高みへと上昇する人間精神の諸段階を象徴している。
ある人はそれを神智学理論と関連して解釈している。
頂上から立ち昇るのは、海、また宇宙の遥か遠方から来る船と人々を導く聖なる煙である事は言う迄もない。
芸術が迷える人々の心の拠り所となり得る事を暗喩してもいるだろう。

◆エピローグ

《レックス(王)》(1909)
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本作は長辺が147cmと、チュルリョーニスが生涯に手掛けた中で最も大きい。
ここに描かれているのは宇宙を司る超越的な王レックス。
画面中央の玉座に座る透明なレックスが、巨大な塔のように聳え立ち、白と黒2つの姿に分裂して重なり合っている。この2人のレックスの姿には異なる2つの原理によって世界を説明しようとする二元論が反映されている。それが星や天使,騎士といった水平に反復する無数のモチーフと交差する事で、重層的で建築的とも言える空間を生み出している。
本作においてレックスは単なる世界の支配者ではなく、全てを内包する存在であり、壮大な交響詩のような印象のうちに、自然や宇宙の力と一体になっている。

この画面上でチュルリョーニスは、キリスト教的な神とは異なる新しい物語を創出し、リトアニア土着の自然崇拝や神智学、インドやエジプトなど非西洋の神話、哲学、そして天文学など彼が吸収した多岐に亘る思想を一つに統合しようとしている。
このようにチュルリョーニスの芸術はリトアニアの文化に深く根差すと同時に、単純な枠組みを超えて普遍的な様相を帯びるに至った。

彼は若くして生前リトアニア芸術のリーダー的存在として認められ、その作品は一部の先見の明を持つ芸術家達に高く評価されたが、一般にはなかなか理解されず、また、国際的な認知を得る機会にも恵まれなかった。
その早過ぎる死後、彼の作品は全てリトアニア国内に留まったため、1990年にリトアニアがソ連から独立する迄、欧米の研究者や観客にとってアクセスは困難な状態にあり、その事がチュルリョーニスの国際的評価を遅らせる一因となった。
しかし、2000年代以降、ヨーロッパ各地の美術館で展覧会が開かれるなど、再評価が進み、今、生誕150周年を経て注目度が高まっている。
 

〈参考資料〉
NHK-Eテレ「日曜美術館」~アートシーン「チュルリョーニス展 内なる星図」
 放送 5/3
 
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