今日思い立って「アンドリュー・ワイエス水彩・素描展」と「前田青邨展」に行ってきました。
ワイエス展は県下菊川市、常葉学園(中・高)の中にある常葉美術館で10/22〜11/19の間、開催されています。常葉学園の創立60周年記念行事の一環との事。
青邨展は浜松市美術館、10/21〜11/23、生誕120年と銘打たれています。
朝10時に車で家を出て、4時半に戻りました。点数も多くはなく、それ程きつい行程という訳でもありません。
ワイエス展は完成作品も僅かありましたが、多くはデッサン・習作です。鉛筆また水彩が殆ど全てです。(全115点)
有名な『クリスティーナの世界』(写真前)の制作過程上に位置付けられるもの、またそれにつながる人や地域、環境を描いたものが多くあり、興味を惹かれました。
進行性の難病で下半身を動かす事ができなくなったクリスティーナ・オルソンと、彼女の面倒を一生看た弟アルヴァロそして彼らの棲む北の果てメイン州、海を臨む丘の上に建つオルソンの家、これら静謐な世界に寄り添い、見つめ続けたワイエス。
クリスティーナはあの絵で何をしようとしていたのか、それを理解できた事は、大きな収穫でした。
彼女は手で這いずって、丘の上の自分の家に帰ろうとしているが、何をして来たのか。彼女は、オルソンの土地の外れにある父母の墓に、毎日行っていたのです。
この2つの墓を前景にして向こうにオルソンの家を小さく描いた水彩画があります。
クリスティーナは74歳で亡くなっています。ワイエスの23歳年上でした。死の前年の彼女のデッサンがあります。早い鉛筆の筆致で、しかし彼女の老いは明らかです。これが最後のクリスティーナの絵でした。
そして、展示のラスト近く、墓とオルソン家のデッサンがまたあります。殆ど同じ構図、しかし墓は1つ増えています。
前田青邨、人間については殆ど何も知りませんでした。今回の展覧会周りの情報を集めた位のもの。
人の顔や動物・静物が、のほほんとした類型的な線描で表されたものが多いのには少し落胆したが、最後の『知盛幻生』(写真後)は凄い。これ1枚だけでも今回の記念展に来た価値があった。
知盛は平清盛の三男。知性と武略に秀でた人物だったが、壇ノ浦で平家水軍の総指揮をとり、最期は海中に身を投じた。
能の『船弁慶』にあるように、義経主従の船を海に沈めようとして荒れ狂う波間に現れた知盛と家来達の亡霊を描いています。
恐ろしくも美しいまぼろしです。
資料含め全81点(前後期入替えあり)は、デビューの17歳から没する92歳迄、生涯を概括しています。
『知盛幻生』は86歳の作。この歳に到って並大抵のエネルギーではありません。
ログインしてコメントを確認・投稿する