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2022年06月05日13:00

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歌劇《オーランド―》/ウィーン国立歌劇場��

(続き)

・・・第2幕・・・

1914年と背景に大きく映し出される年号。
第一次大戦の記録映像。《天国と地獄》(オッフェンバック)を引用した騒々しい音楽。
1917年
孤独を生き続けるオーランド―、
「幸せを求めて多くの時代を経たが、見つからなかった。
名声を求めては逃し、愛を求めては至らず。」

写真家シェルマーディーン(シェルマーダインとも)が登場する。互いに内なる声を聴きとる2人。
フォト


その眼差しの背景に流れるのは1941年2/9のラジオ放送、ヒトラーの侵攻についてのチャーチルの演説。
「我々は降伏しない。ガス、パラシュート、グランダ―による攻撃に備えよ。
ヒトラーは大英帝国を破壊するつもりだが、彼が暴虐と謀略で制圧しているかつて幸福だった多くの誇り高き国々が、プロイセンのくびきを憎み始めている。ナチの名が今程四方八方から激しく嫌われた事はない。」

爆撃機が飛び、爆弾が破裂する映像。
2人は結婚の約束をするが、シェルマーディーンは報道写真のために戦地へ向かう。
暗い壁に映し出されるのは、ナチによって殺害されたユダヤ人の何万という名前。
フォト


シェルマンディーンは野営地を撮影した最初の人間になった。

原爆実験の猛烈な映像。オーランド―の悲鳴はかき消されてしまう。

1945年5/8のラジオ放送、再びチャーチルの演説。
終戦。

舞台は一変する。これ迄にこんなオペラはなかったろう。

その後の世界の出来事を示す、多くの歴史的写真の明滅。
そして、ハイドパークのヒッピーフェスティバル。
サイケデリックなビジュアル。
ドラムスとエレキギターのバンドの登場。
フォト


歌手達はここからヘッドマイクを装着。サウンドは電子処理される。
それらをバックに、大麻を吸いながらオーランドーはクイーンの歌詞その他を引用し、歌い踊る。コム デ ギャルソンの輝くばかりの衣装が映える。

1985年
混沌を極めてトリップしていく電子音楽、狂ったリズム、夢幻的映像。

1989年
異分子が持ち込まれたオーランド―の新しい芸術を、ジャンルの混交、文学の純粋性を損なったと批判する批評家達の威圧的な声。
この手の作品を続けるならキャリアは台無し、芸術は諦めて結婚せよと迄。

オーランドーは、「単にY染色体を選ばなかっただけなのに」と、1人の人間として扱われない事に怒る。
レディ・ガガの引用、
「Hey man! 私はこの道に生れた、他の道はない。」

第1幕でも登場した詩人グリーンが再び現れる。彼はいまや詩人をやめ、電子書籍のビジネスマンだ。
「これは例の詩集か?」とどもりながら訊くと、オーランド―はドラムのリズムの波に乗り、ふわふわと浮かんだかのように答える、「イエス」。

第2幕の場面転換で背景にしばしば映し出されるコマ。
スピードを上げて回り続け、1997年から2000年へ。

スマホの着信音がする。
何処からかけてきたのか、大写しにされたグリーンの老いた顔は、オーランド―の作品を傑作だと表面的には評価するものの、これは電子書籍には向いていないと言う。単純化が必要だ、と。
そして、改稿しなければ出版はしないと明らかなハラスメント。

女性になったオーランド―が出産した女の子はネット上で活躍するスターになった。
彼女はアイデンティティを求めてシャウトする、
「性役割(ジェンダーロール)のせいで自分を隠すのに慣れ過ぎた。
政治家のウソばかり聞かされてきた。
俺達は言われ放題だった。
俺達は無力感に慣れ過ぎた。」
「ママ=オーランド―にエールを送ります、ストリーミングで見ている世界中の人にも。
私はジャスティン・ヴィヴィアン・ボンド(1963- )、オーランドーの子、オペラ歌手じゃない。
私はLGBTQ+(男性でも女性でもないトランス・ノンバイナリー)。」
フォト


こうして、キャバレーに集まったファンと電子画面の前で、パンクロックショーは始まり、延々と続く。
ボンドの声はリンジーより更に太く低い。

都市の夜。
フェミニズムの運動は権力との抗争に発展する。
オーランドー達に銃の筒先を向ける軍隊。
その中には元詩人グリーンもいる。

月が見える静かな丘の上。
フォト


子供達も集まってきた。
オーランドーは言う、
「今日は2019年11/18。」
子供達の無垢なコーラス、
「私達には共通の夢がある。でも将来どんな人間になるのだろうか?」
丘の上の月がみるみる欠け始めて三日月になる。

従来のどんな作品にも似ていない新しいオペラのラストは、メンバー総出で迎える。

中央後ろから子供の天使が静かに暗い空に浮かんでいく。
天使の歌は子供達のコーラスから、次第に膨らんで全員に伝播する。
「偏見も限界もない自由、それが私達の未来。
子供達に発言権を!
共感を!連帯を!人類愛を!」
「私達は生まれた、液体として。
世界は何と素晴らしい。」

500歳を超した筈のオーランドーは歌う、
「私達は行動を続ける。
“従う権利”等誰も持っていないから。
我が希望は薄れても、
我が思いは持続している。
心せよ。」
 
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