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2026年10月08日11:00

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映画『ナギダイアリー』深田晃司~4/end

(続き)

・3月18日(火)
ナギテラスで開かれた演奏会。
ピアノ伴奏にバラライカ演奏。
少女が「ナギは春だよ」と歌うと、子供たちが踊りだす。
客の中に寄子と友梨。

・3月19日(水)
春樹が友梨にメールを寄こした、「相談したいことがあるので内緒で来て欲しい」
行くと、春樹の家には圭太もいた。父好浩は不在。
春樹は思い詰めた面持ちで一気に言う、「圭太は再来週(親と一緒に)神奈川へ引っ越します」、「僕は中学を卒業したら、神奈川へ行きます。ナギを出て、圭太と一緒に暮らします」
友梨は驚いた。高校はどうするのか? 親には相談したのか?
春樹からは、「高校には行きません。向こうで働きながら、絵の勉強をします」、「最終的には台湾に行きます。台湾なら同性結婚ができる」と、短絡した答えが返ってくる。
圭太も春樹も、親には話していない、理解してくれないってことは分かっているから、と付け加えた。
友梨は指摘する、家を出るだけでは何も解決しない。
しかし、そう言いながら、どんな言葉なら彼らを納得させられるのか、自身分からない。
2人は、友梨なら理解してくれると思っていたのにアテが外れ、家を駆けだしていった。

友梨と好浩の別のエピソード(レポート~1で触れた、息子春樹が以前に描いた友梨のデッサンを気に入った父好浩が自室に飾っている)が挿入される。

その間に、圭太と春樹は、今度は寄子の家へ行った。そして「家出をするからお金を貸して欲しい」と。
寄子「町を出て、どうすんの?」
春樹「行けるところまで行って、それから考えます。落ち着いたら自分たちで稼ぐ方法を考えます。でも、それまでの電車賃とか生活費とか必要です」
寄子がそのためにはいくら要るの?と尋ねると、2人はあてずっぽうで、7万円とか15万円とか言うものの、ちゃんとした数値が出る訳もない。
寄子の家に戻った友梨は、2人がこちらに来ていたので驚いた。彼らは、さっき迄とは違う事を寄子に言っている。
寄子は封筒をタンスから出し、10万円入れて春樹に渡した、「必ず返してね」、「安否の巻絡は必ず親に連絡すること。危険な場所には泊まらない…」
お金を持って彼らは出ていった。何処へ行くのか?
友梨の方はお金を渡す事に賛成できない。

同日夜。寄子はアトリエへ戻り、木彫を続けている。
彼女の横で友梨は口を開く、「……無責任じゃないの」
寄子「言ったってやめないと思うあの2人は。だったら気が済むまでやらせてあげた方がいいよ」
友梨「まだ子どもじゃない」、「うまくいくわけない」
寄子「そんな無茶はできないって。お金がなくなる頃には戻ってくるよ」
友梨は強く言う、「寄子さんずるい」、「あの子たちに、自分ができなかったことをさせようとしている」
…自分ができなかったこととは?
寄子は友梨の言葉を噛みしめるが答えられない。

深夜、風が吹き始め、強い雨も降りだした。
危険を感じ、寄子と友梨は車で2人の捜索に出かけた。
フロントガラスを打ちつける雨で、周囲は殆ど見えない。
友梨の叫び声で急ブレーキをかける寄子。

一方、圭太の父東太一と春樹の父好浩も車で息子達を探し回っていた。運転席の太一は職場から駆けつけたのか、自衛隊の制服のまま。
木陰で雨宿りをしている息子たちをようやく見つけ、車を飛び出していった太一は圭太を抱きしめる。
2人を後部席に乗せ、車は走っていく。

途中で、2台の車が出会った。
太一は車内で話を聴いたのだろう、封筒を出して寄子に言う、「圭太にとって、この町にあなたがいてくれたことは、本当に救いだったと思ってます。でもこれはダメです」
寄子は言い訳せず平身低頭。
車の中では2人の中学生が、まるで警察に捕まったかのような表情。
太一は「子どものことも守れないような自分が本当に情けなくて」と激し、泣きださんばかり。
彼は子供2人を乗せたまま、車を運転して家に向かう。

・3月20日(木)
強い風雨が過ぎ去ったナギの町。寄子が手伝いをしている知り合いの牧舎にも雨が降りこんだ。
掃除をする人々の中に寄子と友梨の姿も。

・3月21日(金)
防災無線のお知らせ、好浩の静かな声が聞こえてくる、今日の自衛隊射撃訓練について…。

散歩に出る寄子と友梨の姿。
友梨は離婚した元夫、つまり寄子の弟雅人から電話があったと話す。
彼は現在台湾で建築の仕事をしている。大きなプロジェクトが舞い込んだので来ないかという内容だった由。
寄子「(台湾に)行くの?」
友梨「まだ決めてなくて」、「東京の仕事も整理してないし」
寄子「(ともかく、まずは東京に)帰った方がいいよね」
友梨「すみません。モデル、途中で」
寄子「大丈夫」
友梨「完成したら見にきます」

ナギの田園風景、友梨を乗せたタクシーが走っている。
向うの並行した坂道を、春樹と圭太が2人乗りする自転車が走って行く。彼らは友梨に気づいていないらしい。
友梨はタクシーの窓を開け、笑顔で2人の方を向いて叫ぶ、「行け!行け!行け!」
そのうち、2人の姿は見えなくなる。
自衛隊の演習射撃の音が響く。

友梨の叫びの意味は、ここでは解説しない。
圭太ら2人がどんな答えを出したのか、出せなかったのか、それは分からない。

最後のシーンは何月何日の事か。
アトリエの寄子、ノミをふるっている。
突然友梨がスーツケースを引いて入ってくる。
「仕事、断っちゃった」と笑顔。
寄子も微笑む。

・・・

アトリエではノミを打つ音が響き続ける。


静かで暖かなエンディングテーマは、深田晃司の原詩に台湾の鄭宜農が作曲、謝銘祐が台湾語にした《路邊開花》。

「私の来た道に その花はなかった」
いつか季節が変わり、「甘い香りが 野原を満たす」が、
「窓を閉じたまま」の私は気づかない。

今日はふと「歩く道を変えてみた」
と、私の「目はその花の色の美しさ」を捉え、「鼻は花の馥郁さを」知る。
「私の道に 花は咲いた」
「私は明日も この道を歩くだろう」
「窓を閉めず風を待とう」

そういえば、防災無線のお知らせでも台湾の童謡が使われていた。


監督・脚本 深田晃司
撮影 四宮英俊
照明 加藤大輝
美術 大月由香里

出演 松たか子,石橋静河,松山ケンイチ,川口和空,藤原聖 他

2026年/日本

〈参考〉
映画パンフレット『 2025. 3.13~21 DIARY NAGI 』
執筆 深田晃司,平田オリザ,北村匡平,児玉美月 他
発行 2026.9.25、スターサンズ
 
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