静岡国際オペラコンクール関連イベント、公開講座「オペラの魅力〜美しい歌にはドラマがある」
・2026. 9.12(土)/静岡文化芸術大学 南176大講義室
・講師 静岡文化芸術大学名誉教授 高田和文
1. オペラの誕生
16世紀末、フィレンツェの知識人グループ(カメラータ)の研究から生まれる。
古代ギリシャ劇の復元を目指す:全編を歌っていたと想定。…最近は異説もあり。
レチタール・カンタンド:歌いながら語る。
現存する最古のオペラ:ヤコポ・ペーリ作曲《エウリディーチェ》(1600)
2. オペラの発展
芸術史の潮流とともに変化発展を遂げる。
バロック・オペラ→古典派オペラ→ロマン派オペラ→ヴェリズモ・オペラ
イタリア・オペラの黄金期と三大作曲家~ロッシーニ(1792-1868)、ヴェルディ(1813-1901)、プッチーニ(1858-1924)
3. コンメディア・デッラルテの誕生
仮面即興喜劇。16世紀末に成立、仮面を着けたお決まりの登場人物(ストックキャラクター)。
台本を使わず即興で演技、豊かな身体表現、アクロバットや音楽を多用。
約200年にわたってヨーロッパ中で流行。
俳優·劇団の成立~近代演劇の源流となる。
4. コンメディア・デッラルテの発展
イタリア人劇団の巡業·移動により、ヨーロッパ各地に波及。
フランスでは「イタリア人一座」と称し、王室お抱えの劇団となった。
モリエール、マリヴォー、ゴルドーニなどがコンメディア・デッラルテの手法・人物を取り入れた劇作品を執筆。
19世紀にほぼ消滅するが、20世紀に入って復活。ナポリでは大衆演劇の中に生き残る。
5. コンメディア・デッラルテのおもな登場人物
ザンニ(ジャンニ):最も初期の登場人物、道化役。
アルレッキーノ:道化の召使い役。
ブリゲッラ:道化の召使い役、後に出世してレストランの支配人。
パンタローネ:年老いたヴェネツィアの商人。
ドットーレ(バランゾーネ):ボローニャの学者。
カピターノ:スペイン出身の軍人。剣を持つ。
コロンビーナ:機転が利く小間使い。仮面を着けない訳は、初めての女優登場で女優の顔を見せたい。
プルチネッラ:貧乏で飢えている。
6. オペラとコンメディア・デッラルテ
オペラ成立の基礎を作った音楽:マドリガーレ(世俗歌曲)。
初期には歌手と俳優が共演、それぞれが役割分担:「マドリガル・コメディー」。
コンメディア・デッラルテは喜劇的な内容のオペラ(オペラ・ブッファ)に強い影響を与えた。
7. コンメディア・デッラルテの影響を受けたオペラ作品
ペルゴレージ《奥様女中》(1733)
モーツァルト《フィガロの結婚》(1786)
ロッシーニ《セビリアの理髪師》(1816)
ドニゼッティ《ドン・パスクワーレ》(1843)
8. オペラとドラマ
音楽劇の根本的な課題、語りと歌の二律背反。
オペラではレチタティーヴォとアリアの分離によって解決。
レチタティーヴォ:語りに近い歌、叙唱、ドラマの進行を説明。
アリア:人物の感情を歌い上げる、歌詞はほとんど反復。物語は進展しない。
ロマン派オペラ、特にヴェルディが音楽とドラマの一体化を追求。シェイクスピア劇のドラマ化。
9. 実際の場面から
・場面鑑賞1. ロッシーニ《セビリアの理髪師》より
〈俺は街の何でも屋〉フィガロ
・場面鑑賞 2. ヴェルディ《リゴレット》より
〈女心の歌〉マントヴァ公爵
・場面鑑賞 3. プッチーニ《ラ・ボエーム》より
〈冷たい手を〉ロドルフォ、〈私の名はミミ〉ミミ
1も3も謂わば自己紹介の歌だが、3ではその展開が自然。ヴェリズモ・オペラの進歩。
10. 結論 オペラのドラマ性とは
レチタテーヴォ:歌による対話と演技、演出・字幕の補助。
アリア:歌詞の内容よりも歌の美しさと歌手の技量。
注目すべきは、アリアそのものの音楽の美しさと、特にその前後のレチタティーヴォ。そこにドラマが表れる。
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