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2026年08月30日21:24

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モーツァルト自筆の未発表曲が発見された

今年2026年、今迄250年間も知られていなかったウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-91)自筆の未発表曲が発見された。〈フルートとハープのための7つの小品〉(6曲完成,第7曲未完)含む「音楽ノート」で、無論K番号が付けられている訳もない。早速世界初演され、その音源が公開された。

この劇的な事実を整理して書いておこうと思う。

発見されたのはフランス国立図書館(BnF)、2026年2月。
BnFのアーカイブの片隅でそれは「作者不明・無題」、18世紀後半の「音楽ノート」として何世紀もの間眠っていた。
BnFのキュレーター、フランソワ=ピエール・ゴイが、匿名の史料を精査していた際、その筆致にモーツァルトの面影を直感した。
その後、専門家による厳密な鑑定を経て、同2026年4月にはザルツブルク・モーツァルト財団の「ビブリオテカ・モーツァルティァーナ」館長のアルミン・ブリンツィングにより、真筆として正式に承認された。
ここ数十年間で最も重要な音楽史料の発見の一つとされ、ただの小曲集の楽譜に留まらず、若きモーツァルトがパリで過ごした日々の息遣いを今に伝えるものとして評価される事となった。

◆新発見されたもの
この「音楽ノート」は44ページに及ぶもので、1778年にパリ滞在中の22歳のモーツァルトが、アマチュアながらフルート名手で、且つベルリンやロンドン駐在フランス大使も務めた外交官ド・ギーヌ公爵(アドリアン=ルイ・ド・ボニエール)の娘でハープを演奏したマリー=ルイーズ・フィリピーヌ・ド・ボニエール・ド・ギーヌ(1759-95)に与えた作曲レッスンの記録である。

モーツァルトには1778年に作曲した有名な〈フルートとハープのための協奏曲〉ハ長調K.299(297c)があるが、それを依頼したのがこのド・ギーヌ公爵である。
この作曲のために22歳のモーツァルトは3度目のパリ滞在をしたのである。
ド・ギーヌ公爵は併せて、娘の作曲教育をモーツァルトに頼んだ。
おそらく父娘でフルートとハープの共演をしたかったのだろう。

「音楽ノート」は〈フルートとハープのための協奏曲〉と同じフランス製の紙が使われており、モーツァルトとド・ギーヌ公爵の娘の筆跡が混在している。
教え子が書いた不器用な練習曲に対し、3歳年上の師モーツァルトが手本を示したり、修正を加えたりしている。
アマデウスは1778年5/14付けの父レオポルト宛ての手紙の中で、この教え子について「音楽的な着想(インベンション)が欠けている」と辛辣に書いている。
「音楽ノート」の最後は、第7曲目、未完成の練習曲と数ページの白紙で唐突に終わっている。
1778年7月、教え子が結婚した事が、モーツァルトの音楽教育終了の直接原因だと思われるが、ド・ギーヌが〈フルートとハープのための協奏曲〉の作曲料を支払わず、娘のレッスン料を当初契約の半分しか払わなかった事も、要因の一つと考えられるのではないか。

◆モーツァルトの真筆だと認められた訳
「音楽ノート」に含まれる〈フルートとハープのための7つの小品〉にはフルートに「特殊仕様」があり、この事も、モーツァルト作曲と認定された重要な決め手だった。
18世紀後半のパリのフルートは、最低音がD迄だったが、小品にはC音が入っていたのである。
ド・ギーヌ公爵はロンドン滞在中に、C音が出るフルートを特注で作らせて持っていた。
ド・ギーヌのために作曲した〈フルートとハープのための協奏曲〉もC音を含んでいる。

◆モーツァルトの楽譜とフランス革命の関係
「音楽ノート」とフランス革命の関係についても、考えておかなければならない。
1794年5/4、革命政府はパリのヴァレンヌ通りにあったド・ギーヌ公爵邸から「2つの音楽パケット(包み)」を没収した。
今回の「音楽ノート」はそのうちの一つであり、翌1795年にはフランス国立図書館(BnF)コレクションに加えられた。
〈フルートとハープのための協奏曲〉のフランス製写本に押されているスタンプと全く同じものが今回の「音楽ノート」にも押されていた事が判明した。

◆フランス国立図書館の重要性
今回の発見により、フランス国立図書館(BnF)コレクションの重要性が再認識された。
BnFには〈ピアノ協奏曲第23番〉イ長調K.488(1786)や歌劇《ドン・ジョヴァンニ》K.527(1787)といった傑作を含む45点ものモーツァルト自筆資料が収蔵されていて、現在、BnFはザルツブルクに次ぎ、ベルリン国立図書館と並ぶ世界最大のモーツァルト自筆譜の保管場所になった。

◆楽譜、世界初演
BnFでキュレーターが「音楽ノート」の楽譜がモーツァルトの自筆ではないかと直感した2026年2月、
ザルツブルクで認定されたのが同4月。
以下「音楽ノート」の写真。
フォト

パリ・リシュリュー館のオーバル・ルームで、フルートのマチルド・カルデリーニとハープの二コラ・テュリエによって世界初演されたのが同6/21。
フォト

フランス放送によって放送されたのが、翌6/22。
6/23、演奏音源発表。

ニコニコ動画で聴く事ができるモーツァルト〈フルートとハープのための7つの小品〉(2026年6/21世界初演)。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm46479377
 
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