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2026年08月13日21:33

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TBSK管弦楽団 第17回定期演奏会/横浜みなとみらいホール

8/11(火/祝)、私の友人の息子さんが参加しているTBSK管弦楽団の第17回定期演奏会を聴きに、横浜みなとみらいホールへ出かけた。

フォト

TBSK管弦楽団の演奏会は、これ迄幾度も聴いている。
いつも進取の精神に富んだアグレッシブなプログラムを組んでくれるので、まずはそれが愉しみである。

TBSK管弦楽団をご存じない方もおられるかと思うので、前回私が聴きに行った第15回定期演奏会のレポートをご紹介しておく。

「TBSK管弦楽団第15回定期演奏会/ミューザ川崎」(2024.7.18記)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1988015942&owner_id=3341406&from=list_diary_search

この時は「北欧」がプログラムのトータルテーマで、ヒューゴ・アルヴェーン(1872-1960/スウェーデン)、カール・ニルセン(1865-1931/デンマーク)、ヤン(またはジャン)・シベリウス(1865-1957/フィンランド)を採りあげた。

今回は「東欧」である。
プログラムは以下の通り。

1.ボフスラフ・マルティヌー(1890-1959/チェコ)シンフォニエッタ《ラ・ホッジャ》(1950)
2.バルトーク・ベーラ(1881-1945/ハンガリー)組曲《中国の不思議な役人》(1925)
3.グスタフ・マーラー(1860-1911/チェコ) 交響曲第1番《巨人》(1888)

バルトークとマーラーは誰もご存知だろうが、マルティヌーについては知らない人も多いのではないか。
私も今回初めて曲を聴いた。
そういう訳で、ここではマルティヌーをメインにレポートしようと思う。

マルティヌーは1890年、当時オーストリア=ハンガリー帝国領内のボヘミア(現チェコ共和国)に生まれた。音楽とは無関係な家庭だったが、ヴァィオリンに才能を現し、プラハ音楽院で学んだ。
第一次大戦後は新生チェコ共和国のプラハで、ヴァイオリンに加え、作曲をドヴォルザークの娘婿ヨゼフ・スクに師事した。
1923年には、奨学金を得てパリ留学、アルベール・ルーセルに就く。
1930年代は「新古典主義」的な作風にマルティヌーは転じた。
第二次大戦が勃発すると、1941年、戦禍を避けてアメリカに移住。マルティヌーは英語を話せず、お金も持っていなかったため、生活は難儀するが、パリ時代からの知己であるクーセヴィッツキーらの支援を得て、作曲に邁進する。1942〜46年にかけては、毎年1曲ずつ交響曲を書いた。

終戦後、祖国へ帰る事も検討したが、チェコにも共産党政権ができたため諦め、二度と故郷の土を踏む事はなかった。
1953年、フランスのニースに移り、その後も多くの作曲を続ける。
1959年、スイスのリースタイルで没。68歳。

シンフォニエッタ《ラ・ホッジャ》は、1950年、カリフォルニア州南部の「ラホヤ」というリゾート地の音楽芸術協会の委嘱によって作曲した。
表記は「La Jolla」、地名としては「ラホヤ」が定着しているが、スペイン語発音が”ラホッジャ”に聞こえた事から、日本マルチヌー協会は曲名をシンフォニエッタ《ラ・ホッジャ》としている。

編成はピアノと2管のオーケストラ。ピアノには重要な役割を与えられているものの、ピアノ協奏曲という程ではない。
オーケストラは、木管にフルート1,ピッコロ1,オーボエ2,クラリネット2,ファゴット2、金管はホルン2,トランペット1と小編成。弦は5部。他に、パーカッションは、ティンパニ,シンバル,トライアングル,小太鼓。

曲は以下3つの楽章からできている。演奏時間約19分。

・第1楽章 ポコ・アレグロ
ピアノによるオスティナート音形のリズミカルで忙しい第1主題は、オーケストラの様々な楽器で対話が繰り返される。
第2主題はドルチェ、ピアノ伴奏に乗って弦によるシンコペーションの伸びやかな歌。管楽器へ拡大し、リズムを背景にして次第に盛り上がる。
木管楽器が寛いだ風の副次主題、そして展開部を経て、冒頭のピアノと弦のオスティナートが再現。
ピアノが激しいリズムで駆け足のコーダを呼び寄せ、息を切らせずクレッシェンドしてエンド。

・第2楽章 ラルゴ〜アンダンテ・モデラート
弦楽器による静かなゆったりとした序奏。
その後アンダンテモデラートに転じ、弦の息を継ぐような簡単な伴奏の上にピアノが単音で断片的な独白。
弦楽器が静かなアンサンブルで綾をなしていく。そこへ再びピアノの独白が乗る。木管楽器が様々に色を変えて風景を表現、次第に楽器が加わり、ピアノ伴奏の上にシンコペーテッドされたリズムのアクセントを効かせたメロディを力強く総奏、ピークを形作る。その後、次第に静まりかえっていく。

・第3楽章 アレグロ
躍動感のある華やかなフィナーレ。ピアノのリズムの上にオーボエの誘いの楽句が続き、その後、次々チェコ風の舞曲が登場する。次第にリズムが細かに刻まれテンポアップして山を築く。小太鼓も加わり、ピアノが滑走する。
次第に楽器が減りデクレッシェンド、ピアノだけになってポコ・メノ。中間部は木管と弦の叙情的な歌が繰り返される。
突然小太鼓が入って、ピアノの走句と伴に、活気溢れるアレグロ・ヴィーヴォのコーダへ。総奏で金管が一気に盛り上げて輝かしく作品を締め括る。

指揮の山上紘生は、シンコペーションが多くリズムが難しい本曲を、オーケストラと見事に協調し、テンポに変化をつけ、且つ民族風の色合いを楽しんで演奏した。


当日は、前掲のプログラム以外に、開演前のプレコンサート(弦6名)として、ヨゼフ・スク(1874-1935)による〈弦楽セレナーデ〉Op.6(1892)より第3楽章、そして、最後のオーケストラアンコールにマーラーの《花の章》(1888)が演奏された。

プレコンサートとアンコールの曲目も、正規プログラムの延長でよくよく考えて決めたに違いない。
プレコンサートの〈弦楽セレナーデ〉のヨゼフ・スクは、マルティヌーについての解説の中で、師事した作曲家、ドボルザークの娘婿として登場している。マルティヌーとしては縁の深い作曲家である。

オーケストラアンコールのマーラーの《花の章》は、マーラーが交響曲第1番を作曲する過程において第2楽章用に書いたものだが、最終稿(第3稿)で削除された。
現代でも、この《花の章》を組み込んで交響曲第1番を演奏する場合が稀にあるし、《花の章》を単独でプログラムにピックアップする例がある。


〈付記〉
席は1C6列20番。

〈参考資料〉
Naxos
・マルーティヌー シンフォニエッタ《ラ・ホッジャ》
 指揮 タマーシュ・ヴァーシャーリ
 演奏 ボーンマス・シンフォニエッタ
 録音 1990年2月
・同
 指揮 オンジェイ・クッカル
 演奏 プラハ室内管弦楽団
 録音 1997年6月
・同
 指揮 マルコ・イヴァノヴィッチ
 演奏 チェコ室内フィルハーモニー管弦楽団
 録音 時期不詳
YouTube
・バルトーク 組曲《中国の不思議な役人》
 指揮 岩城宏之
 演奏 メルボルン交響楽団
 収録 1989年
・同全曲版
 指揮 アンドレ・オロスコ=エストラーダ
 演奏 hr交響楽団/フランクフルト放送交響楽団
 収録 2019年2月
・マーラー 交響曲第1番《巨人》
 指揮 クラウス・テンシュテット
 演奏 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 収録 1977年
・同
 指揮 パーヴォ・ヤルヴィ
 演奏 チューリヒ・トーン・ハレ管弦楽団
 収録 2025年1月
 
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