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2026年08月02日10:07

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フェスタサマーミューザKAWASAKI 2026~東京都交響楽団��/end

(続き)

◆ブリテン ヴァィオリン協奏曲ニ短調
ヴァィオリン協奏曲は《青少年のための管弦楽入門》から6年遡った1939年、ブリテン25歳、スペイン出身の昵懇のヴァイオリニスト アントニオ・ブローサ(1894-1979)のために作曲された。1936年にスペイン内戦勃発、作曲同年には第2次世界大戦が始まった。
ブローサは反フランコの立場からスペインを逃れた芸術家の1人。ブリテンも第2次大戦の戦禍を避け、1939~42年の間アメリカに移住した。「良心的兵役忌避」はブリテンの戦争に対する重要なスタンスとして知られている。
ブローサはブリテンから本曲のヴァイオリンのテクニカルな側面について相談を受け、1940年に初演を果たした。

この曲は、新ウィーン楽派のアルバン・ベルク(1885-1935)のヴァイオリン協奏曲《ある天使の思い出に》(1935)に触発されたとも言われている。
1930年代、ブリテンはベルクに弟子入りする事を検討していた事実がある。前掲のオペラ《ピーター・グライムズ》もベルクのオペラ《ヴォツェック》(1914-22)を意識し、社会の底辺に生きる人々を描いた。

3つの楽章で構成されているが、続けて演奏される。
・第1楽章 モデラート・コン・モート
ティンパニの単純な音形のモチーフにより、導入部がピアニシモでスタート。このモチーフは、全楽章でヴァィオリンソロと様々な楽器によって繰り返される重要な役割を持つ。
主部第1主題は独奏ヴァィオリンの静かで内省的な歌、第2主題は対照的にテンポアップ、リズミックで劇的な展開。
第1主題の再現ではオーケストラと独奏ヴァィオリンの役割が逆転、導入部の例のモチーフをソロは様々に展開する。
静かなコーダでエンド。休みを置かず第2楽章へ。

・第2楽章 ヴィヴァーチェ
荒々しいリズムのスピーディなスケルツォ楽章。
ソロヴァイオリンにはあらゆるテクニックが要求され、息もつけない。竹澤恭子のソロは、全身を使い、力強く生々しくオーケストラと抗争し、ホール中の目と耳を惹きつける。
ピッコロとチューバなど様々な楽器の奇想的な掛け合いののち、ヴァイオリンの長大なカデンツァ。この中にも第1楽章導入部の件のモチーフが何度も顔を出す。
カデンツァのまま第3楽章に流れ込む。

・第3楽章 アンダンテ・レント
トロンボーンに現れる下降音形を主題にしたパッサカリアは9つの変奏を展開。独奏ヴァィオリンはオーケストラと様々に絡み合い、またぶつかり合う。
オーケストラは時に軍隊や群衆のように集団として個を翻弄しようとする。
しかし、独奏ヴァィオリンは叫びをもって世界を鎮め、次第に音楽は静謐を極めていく。竹澤の荘厳なレントはいつしか闇の中に消え入る。

休止の長いフェルマータのあと、待ちきれなかったかのように、割れるような拍手と喚声が沸き起こった。
竹澤は自身満足の表情で大野とオーケストラに感謝をし袖に引き下がったが、聴衆に乞われて幾度もステージに現れて礼を重ね、アンコールにはバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番から第3楽章のアンダンテを演奏した。美しいメロディを支える伴奏の一定音形が聴衆の興奮を次第に静めていく。

◆シューマン 交響曲第4番ニ短調
4番となっているが、実際は1番の《春》に続いて1841年に作曲され、苦難を乗り越えて前年に結婚したクララに、誕生日プレゼントとして捧げられた。
しかし、初演の評価が良くなく、出版されなかった。
シューマンは10年後、1951年に交響曲第3番《ライン》作曲後、これの改定を施し、出版に漕ぎつけた。
出版の順番で交響曲の4番、作品番号120番を与えられた。シューマン自身は当初《交響的幻想曲》と呼び、単一楽章曲と考えた。
最近は初演版による演奏も行われるようになったが、当夜は1951年の改訂版による。
シューマン自身が考えた通り、全体を休みなく続けて演奏はするが、最近は4楽章構成の交響曲と見る。

・第1楽章 かなり緩やかに~生き生きと…初演版は標準的にイタリア語で表したが、1951年版はドイツ語になっている。
かなり緩やかな序奏のあと自由なソナタ形式。半音階的に上下行する生き生きとした第1主題。
この第1主題のモチーフは本曲全体で繰り返し登場し、統一感を高めている。
第2主題はなし。
展開部のあと再現部もなく、第1主題によるコーダで決然とした短い終止。

・第2楽章ロマンツェ かなり緩やかに
オーボエとチェロ独奏により、中世ロマンス風というのか、かなり緩やかな第1主題。
第1楽章序奏の旋律を挟んで、ヴァイオリン独奏による3連符が流れる中間部。

・第3楽章スケルツォ 生き生きと
スケルツォ主題は総奏で、生き生きとして決然的な魅力的旋律。これが繰り返される。
トリオは対照的にのんびりしたメロディ。
トリオの再現から第4楽章へ休みなく続く。

・第4楽章フィナーレ ゆるやかに~生き生きと
ゆるやかな序奏は第1楽章の第1主題を部分的に使用し、金管で盛り上げていく。
主部第1主題は第1楽章の展開部で使われた付点音符のある旋律で、生き生きと奏される。
第2主題は穏やかでうきうきとしたムード。
金管による展開部のあと第1主題をフガート的に扱う。
再現部は第2主題のみ。コーダでテンポアップ、クレッシェンドしてピークを作り、力強くエンド。

大野は各部のコントラストの明確さよりも全体の有機的統一感(大きな物語のような)の表出を重視したように思える。
結果、リズム感はやや重く、これがドイツ的なロマンティシズムと言うのだろうか。ズシリと胸に響いた。

フォト


〈付記〉
席;1C4列24番

〈参考資料〉
YouTube
ブリテン《青少年のための管弦楽入門》
 指揮 秋山和慶
 演奏 洗足学園音大ビギナーズオーケストラ
 収録 2009.7.2

同 ヴァイオリン協奏曲
 指揮 パーヴォ・ヤルヴィ
 演奏 パリ管弦楽団
 Vn ジャニーヌ・ヤンセン
 収録 プロムス2013 LIVE/ロンドン

 指揮 ユッカ=ペッカ・サラステ
 演奏 デトロイト交響楽団
 Vn アウグスティン・ハーデリヒ
 収録 2018.3.24/デトロイト

シューマン 交響曲第4番
 指揮 ディマ・スロボデニウク
 演奏 WDR交響楽団
 収録 2022.11.19/ケルナー・フィルハーモニーLIVE
 
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