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2026年03月28日12:00

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『HIMARI という名の才能~14歳のヴァイオリニストの現在地』~1

3.21(土)、NHK-BSが放送した『HIMARI という名の才能~14歳のヴァイオリニストの現在地』について。

2024年11月、13歳のHIMARI(2011.6.24- )は日本で本格的に演奏家デビュー。これ以前にも単発のコンサート出演はあったが、リサイタルツアー(「HIMARI Violin Recital Tour 2024」)は自身初で、東京,大阪,名古屋,福岡で行った。

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カメラはこれより1年間HIMARIを追い続けた。番組はそのデビューイヤーの記録である。

同じ2024年12/31夜に米・東海岸フィラデルフィアで行われた同管弦楽団の「ニューイヤーズ・イヴ・セレブレイション」に招かれた13歳のHIMARI。
演奏前、キンメル・センターの舞台上から、指揮者マリン・オルソップが聴衆に向けマイクを持ってこう語った、
「過去を振り返るのもいいが、未来に想いを馳せる事も大切。
今夜の協奏曲のソリストはアメリカの名門オーケストラと初共演。この瞬間を是非心に刻んで欲しい。皆さんにとって忘れられない時間となるだろう。」

13歳のHIMARIは当夜ワックスマンの《カルメン幻想曲》を、フィラデルフィア管弦楽団をバックにして演奏した。
コンサートの前だと思うが、オルソップは別室でこうも言っていた、「今日の共演はかなり特例。車を運転できない歳の子にこの舞台は早過ぎるが、今回は特別にルールを破る事にした。」

カメラは、このコンサートだけでなく、全ての演奏会の聴衆の驚きと歓声を捉えているが、番組(1時間半)は当然ながら演奏の極く一部しか見せていない。私個人の感想も含め人々の反応などの側面については本レポートで書き留める事はせず、なるべく事実だけを記す事にする。

HIMARIは3年前(11歳)の時から米国のカーティス音楽院で学んでいる。師事したのはアイダ・カヴァフィアン。
カヴァフィアンの発言、「今、私の最大の責任は彼女をどう大人へ育てていくかだ。神童から大人への移行は多くの危険と困難を伴う。」
3年前は言う迄もなく、14歳になった今でもHIMARIは彼女のクラスで最年少だ。

HIMARIは2011年東京生まれ。本名 吉村妃鞠。2歳でヴァイオリンに触れ、興味を示した。
日本での師 原田幸一郎は思い出して語る、
「10歳頃、最初に聴いたのはパガニーニの協奏曲。びっくりした。技術的には既に完全に完成していた。(*)
転機は小学校4年生の時、急に "カーティスに行きたい" と言いだした。
米国のカーティス音楽院は特殊な学校で、年齢に関係なく、入学試験に合格すれば入れる。ヴァイオリンで言うと、年に3~4人しか受け入れない。たぶん100人以上受けにくるとは思う。世界で一番レベルの高い学校だ。」

(*)2019年7歳の時、パガニーニの第1番をもってアルテュール・グリュミオー国際ヴァィオリンコンクールで第1位/特別グランプリを受賞している。
コンクールの受賞は殆ど10歳頃迄に国内外数々の最高賞を受けており、番組では一切紹介しなかった。

HIMARIを誰に託すか、原田幸一郎には一人心当たりがあった、「僕はアイダ・カヴァフィアンをよく知っていたから、彼女にパガニーニの協奏曲のビデオを送った。」

アイダ・カヴァフィアン(1952- )。
両親はアルメニア人、トルコで生まれ4歳で渡米。ジュリアード音楽院でオスカー・シュムスキー(1917-2000)に師事。26歳でカーネギーホールデビュー。小澤征爾や武満徹との親交が深い。武満からは曲を書き下ろしてもらった事もある。1990年代からカーティス音楽院で教鞭。
以下は1992年7月収録のCD、世界屈指の室内楽 ボザール・トリオに参加していた頃、ベートーヴェンの三重協奏曲を演奏している。
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指揮はクルト・マズア、オーケストラはライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団。

HMARIのビデオを受け取ったのは、教職から身を引こうと考えていた時だった。
カヴァフィアンの言葉、「もしHIMARIが本当に入学してきたら、私の引退は先送りだと思った。結局、そうなった。」

2022年秋、HIMARI渡米。当時11歳。(カーティスの入学試験に合格したのは10歳時。)
65歳のカヴァフィアンと師弟関係がスタートした。

2024年11~12月、日本で演奏家として本格的なデビュー。(前述の「HIMARI Violin Recital Tour 2024」。ピアノは三又瑛子。冒頭に貼付したチラシ参照。)
原田幸一郎「デビューリサイタルのプログラム(以下)としては地味なので心配した。」(ポピュラー性に欠けるという意味か?、かなり個性的ではある。)
が、チケットは瞬く間に完売した由。

 ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第7番Op.30-2
 コリリアーノ《レッド・ヴァイオリン・カプリス》
 ドヴォルザーク ロマンスOp.11
 武満徹《妖精の距離》
 ヴィエニャフスキ グノーの《ファウスト》の主題による華麗なる幻想曲Op.20
 アンコール;エイミー・ビーチ ロマンスOp.23

HIMARIによると、プログラムはカヴァフィアンに選んでもらった(アンコールのみ自身で)。番組はそれぞれの選曲の、デビュープロとしての意義を紹介していたが、何に典拠したのか分からないので、ここでは省略。

カヴァフィアンのプログラムに対する発言、
「世の中には非常に華やかなスタイルで成功している演奏家も大勢いる。でも、私にとってはHIMARIが "偉大な音楽家" になる事が重要なのだ。」

終演後、HIMARIは "モンスター・プログラム" (きっとカヴァフィアンがそう表現したのだろう)と口にしていたが、微笑みながら「楽しい曲ばかりで、リサイタルは楽しかった」とも言っていて、13歳の少女が果たして "モンスター" という意味を感じていたかどうか? …これは私の個人的な感想。

(続く)
 
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