2.1(日)のNHK-Eテレ「クラシック音楽館」は第22回NHK音楽祭の模様を放送。
収録は昨2025年10月3日。
N響とは初共演の2人の若い才能の躍進を鑑賞できた。
1人はトランペットの児玉隼人(2009- )、16歳にして世界から篤い視線を向けられている。
もう1人は17歳、ピアノのソフィア・リュウ(2008- )。
指揮はフィンランド女性エヴァ・オリカイネン(1982- )。
日本ではまだ殆ど知られていないが、ヨーロッパでは各地の名門オーケストラ、歌劇場での共演を果たし、首席指揮者としても声がかかっている。
プログラムは以下の通り。
ラヴェル《ラ・ヴァルス》
アンリ・トマジ トランペット協奏曲
サン=サーンス ピアノ協奏曲第2番ト短調 Op.22
R.シュトラウス 歌劇《ばらの騎士》組曲Op.59
協奏曲は2人の才気煥発のソリストの希望によるが、オリカイネンは、それを真ん中に据えて活かすプログラムをと熟慮、前後を1800年代のワルツへの郷愁と陶酔と狂乱、破滅をテーマにした曲で組みあげた。
彼女によれば、前回の来日時はシベリウスの交響曲を2曲演奏した、彼女の出自から期待されたプログラムだったのだろうが、今回はそうした固定イメージから離れたかった。
彼女の言葉を続ければ…
ラヴェル(1875-1937)が《ラ・ヴァルス》を書き上げたのは1920年、その時フランスではまだサン=サーンスが生きていた。
一方のトマジは作曲の勉強を始めたばかりの青年。
フランス音楽の異なる時代を象徴する3人の作曲家の人生が交錯した時代だ。
児玉隼人は2009年北海道釧路市生まれ。
9歳からトランペットを学び、2024年、日本管打楽器コンクールトランペット部門第1位。これは史上最年少の受賞だった。
そして翌2025年、ウィーン国際音楽コンクール金賞、世界から注目を浴びる。
現在はドイツ留学、ラインホルト・フリードリヒに師事している。
インタビューに応える彼の言葉…
…フリードリヒは最も憧れとする奏者。一番近くにいて、一緒に住んで、殆どの現場にくっついていかせてもらっている。
彼のルーティーンや表に出ていない部分も全て間近で見れるので、勉強になっている。が、奏法とかテクニックに関しては、先生は何も言わず、各曲への思いや知識を生徒に与えるというやり方。
見て学ぶ事はいろいろあるが、生徒としてはもう少し具体的に教えて欲しい部分もある。それらは自分で見つけて欲しいという先生のメッセージなのか。
N響は幼い頃から憧れてきたし、NHKホールには何度も足を運んできたので、今回の初共演は1つの目標を達成する大舞台。勿論、緊張感はあるけれど、恐怖感よりも楽しみ、どんな事になるんだろうというわくわく感が今は大きい。
今回選んだのは、輝かしい音色と超絶技巧を求められるアンリ・トマジ(1901-71)、20世紀フランスのトランペット協奏曲。
自分が今一番好きな曲でN饗と共演したいという思いがあった。
トマジの協奏曲は大好きな曲で、色彩感を始めとして彼のいろんな面が出てくる。憧れのN饗とその曲をやる事が今僕にとって一番いいんじゃないかと思う。こんなチャンスに、トマジを提案したら、OKを頂けたので、本当に嬉しい。
この曲、あまりトランペットらしい曲じゃないという風に思うところもある。何なのこの音? これトランペットの音? オーボエやらの木管楽器、打楽器、弦楽器の音だったり、興味をそそる音を何十色も何百色も、いろんな音色をトランペットから出したいと思っている。
そのため、今回はいつも使っているミュートだけでなく、同じ種類のミュートでも違うメーカーのものを使ったり、違う素材のものを使ったり、いろんな音色を出せるような工夫もしている。
これらに注目してトマジを聴いて頂き、トランペットの魅力が、日本中に知られていくのが楽しみ。
曲は古典的な急緩急の3楽章構成。第3楽章はいろんな打楽器も登場する。
ステージを見ると、彼の左手のスタンドに3種類のミュートが用意されていて、かなり頻繁に取り換えて演奏していた。加えて、ミュートと楽器の間にフェルトを挟むような工夫も見られた。
トランペットの楽譜は見た事がないが、作曲家はミュートについて何処迄指示しているのだろうか?
先の児玉のインタビューから推測するに、自分で曲の箇所毎にミュートを選んでいるのだろう。
16歳とは思えない堂々とした態度の演奏、そして豊かな音色表現、今後一層期待していきたいと思う。
チャンスがあれば、是非生で聴いてみたい。
アンコールには、ルネサンス時代のクロード・ジェルヴェーズ(1540以前-58以後)のアルマンド。
トマジの時とは違う、マウスパイプが長く、ベルの短い古そうな楽器で演奏した。
(続く)
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