(続き)
母パールの墓参りのあと、パンジーはシャンテルのアパートに寄った。そこには、カートリーもモーゼスもいた、おそらくシャンテルが気を利かせたのだろう。無論ケイラとアリーシャもいた。
彼女達が用意してくれた美味しそうな食事やワイン。
乾杯をしたが、パンジーとシャンテルは食欲がでなかった。一方カートリーとモーゼスは即食事を始める。
パンジーは席を立ち、シャンテルの部屋に行った。すると、シャンテルがパンジーを追いかけてきた。
パンジーは寄り添うシャンテルに漏らす、カートリーは見るのも嫌だ、何あの食べ方は。
シャンテルが、では何故結婚したの(半分はあなたの責任でしょう)と咎めると、パンジーは言った、一人で死にたくなかった、と。
パンジーの脳裏には、誰にも看取られずに死んだ母パールの事が重くのしかかっていたに違いない。
パーティの席に戻った2人に、シャンテルの娘達が微笑んで言った、いい事があるのよ、と。促がされたモーゼスは口ごもり小さな声で、花を買ったと言った。
パンジーは、その言葉の意味が心の奥に届くのに随分時間がかかった。泣いたり、笑ったり、その顔はまるで苦痛のようにも見えた。
そして息子モーゼスにようやく感謝の言葉を言う事ができた。
モーゼスは、母の顔を見ず、口の中で何か言った。
パンジーらが家に戻ると、DKのテーブルの上に花束が置かれていた。
彼女は花瓶を探し出し、如何にもどうしたらいいか分からないような慣れぬ手つきで、花を生けた。
カートリーがお茶を勧めようとすると、パンジーはそれを無視して彼に、シャンテルの話しに答えもせずガツガツと食べていたわねと非難、2階へ行ってしまった。
パンジーは寝室中から夫の衣類を運び出し、廊下に押し出してしまう。
カートリーはそれを見てしばらく茫然としていたが、1階に戻ると、花瓶から花を抜き出し、ガラス窓から庭へ放り投げた。
観ていてつい溜息が出る。
翌日、カートリーは仲間と工事現場へ出かけていく。
バスタブを外して1階に下ろす途中で、カートリーは腰を痛めて倒れ込んでしまう。
仲間に助けてもらい、何とか家に送ってもらう。
2階にいるパンジーにこの事を知らせるようカートリーは仲間に頼む。
寝室で寝ていた彼女は、彼の声に悲鳴をあげて飛び起きる。パンジーは、悲鳴をあげて目を開ける事がよくある。悪い夢でも見たのだろうか。
悲鳴で気まずい思いをした仲間は帰っていく。
1階でパンジーが降りてくるのを待つカートリーの顔は苦痛に歪む。頬を流れるのは涙か、冷や汗か。
パンジーは、2階のベッドで思案する面持ち。
パンジーの表情も、このあとの展開も、想像がつかない。
モーゼスは、今日、いつもより遠く迄散歩に出かけた。
大型噴水の根元に腰かけていると、若い黒人女性が近寄ってきて微笑みながら話しかける。望遠のせいでよくは分からないのだが、一緒にスナックを食べないかと言っているように見えなくもない。
こちらもこのあとの展開は分からないが、映画は一気に暗転して、エンドクレジットが上がってくる。
帰り、車を運転しながら、映画の細部を想い起しつつ、今後、3人の家族はどうなるのか考える。
細部にこそ真実は隠れている筈。
それにしても、人生は、また人と人が理解し合うのは、本当にたやすくない。
監督・脚本 マイク・リー
撮影監督 ディック・ポープ
プロダクションデザイン スージー・デイヴィーズ
ヘアメイクアップデザイン ノラ・ロバートソン
衣装デザイン ジャクリーン・デュラン
編集 タニア・レディン
作曲 ケイリー・ヤーション
出演 マリアンヌ・ジャン=バプティスト,ミシェル・オースティン,デヴィッド・ウェハー,ドゥウェイン・バレット,アニ・ネルソン,ソフィア・ブラウン,ジョナサン・リヴィングストン
受賞 デンバー映画祭Excellence in Acting Award,ニューヨーク映画祭批評家協会賞主演女優賞,ロサンゼルス映画批評家協会賞主演女優賞,英国インディペンデント映画祭Best Lead Performance,サンデイエゴ映画批評家協会主演女優賞,シカゴ映画批評家協会主演女優賞 他多数
2024/英国
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