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2025年11月03日11:00

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秋の上京1日目、神楽坂~2

(続き)

神楽坂をもう少し上がると「大久保通り」との四つ角に出て、そこが「神楽坂上」である。
更に行けば、左手に「朝日坂」という少し勾配のきつい小路があり、この道の両側には文化人らの縁ある場所が多いと聞いていた。
坂の途中の横寺町にあるのは、「芸術倶楽部跡・島村抱月終焉の地」。
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劇作家,演出家として活動した島村抱月(1871-1918)が、女優 松井須磨子と近代演劇普及のため1915(大正4)年に創設した「芸術座」の拠点「芸術倶楽部」がここにあった。
しかし、抱月は1918(大正7)年11月、スペイン風邪でこの建物の1室で急死。須摩子は翌年1月、道具部屋で彼のあとを追い、大きなスキャンダルとなった。

同じ道をちょっと歩くと右手に圓福寺という寺院があった。この角に石の標識を偶然見つけ、泉鏡花(1873-1939)の墓がある事を知った。
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元は雑司ヶ谷霊園にあったのだが、2024年、妻すずが(1881-1950)深く帰依していたという当寺に改葬されたとの事である。どおりで墓石も真新しい。
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そういえば、雑司ヶ谷の鏡花の墓は、2018年5月に詣でた事があったのを思い出した。
新しい墓には、鏡花の祖父,祖母,両親,弟,養女,すずとその家族迄もが埋葬されている。

朝日坂の上に出ると、左手に尾崎紅葉旧居跡。こちらは、道路沿いに標識も何もなく、かなり探し回った。
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紅葉はここに1891(明治24)年から1903(明治36)年に亡くなる迄12年間暮らした。代表作『金色夜叉』もここで書いたのである。
周囲の木々がぼうぼうと伸び放題になっており、中に入る事もできない。
旧居の奥にはひっそりと杵屋の三味線教室があり、微かに三味の音が漏れてきた。

朝日坂を下りて再び神楽坂に出、左へ少し上がれば地下鉄東西線の神楽坂駅があるが、その手前、右手奥に赤い鳥居が見える。赤城神社だ。
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2009年に立ち上がった「赤城神社再生プロジェクト」と称された工事でスマートな本殿が造営された。デザインは隈研吾。前面は総ガラス張りになっている。
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境内にはランチからスイーツ迄メニューがあるモダンな「あかぎカフェ」。こちらもガラスが巧く使われている。次回来た時にはコーヒーでも、と思った。

神楽坂上はここ迄とし、坂を下り、通りの北側裏手にある横丁界隈を巡ってみる事とした。
善國寺の向いの細い路地を入り込むと、「兵庫通り」に出る。戦国時代には牛込城の武器庫がここにあった。
昔は非公認の遊郭(「岡場所」と言った)などもあり、高低差を利用し、わざと表通りからは見えないように通りや店を設置したらしい。
風情のある料亭や旅館の佇まい。明治大正期には、政治家らが密会をしたともまことしやかに伝えられる。
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スマホの小さなマップ画面では追えなくなり、角を適当に曲がっていくと「本多横丁」に出た。
江戸時代、この通りの東側全域が旗本 本多家の邸宅だった由。
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更に迷路のような角を曲がって入り込んだ所は、「かくれんぼ横丁」という稚気溢れた名がつけられている。
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そして「神楽坂仲通り」から「芸者新道」へ。
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もはや何横丁か何通りか分からない石段の路地。
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迷っているうちに、大学時代の友人と待ち合わせる17:00も近づいた。
先に紹介した赤城神社に戻り、赤鳥居から右手奥に入れば「神楽坂カド」なる小さな店がある。
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古い民家をまるごと居酒屋にしたという造り。
通されたのは掛け軸の下がった床の間の部屋。
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縁側のガラスの引き戸を開けると、狭い庭がある。
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個室でなく、襖を取り払った2部屋続きの畳敷き。友人と差し向えで胡坐をかいて座った。
テーブルはなくお膳を並べている。後から2組程予約客が来て奥方に座った。
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予約したのは「十月 季節のコース」、4品で3,500円。
前菜盛り合わせ。
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松茸と鰈の茶碗蒸し。
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金目鯛の西京焼き。
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ちりめんじゃこの蓮根餅、烏賊と里芋の味噌田楽。
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友人とビールを吞みながら、今回は来れなかった友人らの話や、様々近況報告など、意識はせずとも神楽坂という地と文化を背景にして会話が進む。
店女性が奥から我々の食べる様子を見て、適当なテンポで品々を出してくれるので、話を交わすにはちょうどよい。
量的には少し物足りなかったので、私は馬刺しと鯖の南蛮漬けを追加注文(700円,450円)。
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いい雰囲気で2時間程過ごし、帰りがけには神楽坂通りの珈琲館でデザート代わりにコーヒーゼリーなど。
地下鉄の神楽坂駅にて、元気で!と交わし、東西に分かれた。
友人はK分寺の自宅へ、私は予約した西葛西のTホテルへ。

こうして上京1日目は無事終わった。
あとからスマホを確認すると16,500歩、よく歩いた。
 
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