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2025年10月08日13:00

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金澤翔子 最後の書展~3/3

(続き)

席上揮毫は『世界一大きい般若心経』(4×16m)を展示する目的で龍雲寺に造られた「涅槃堂」で行われる。
堂の前は既に人がぎっしりいっぱいになっていて、気温が上がり、息苦しい程。
堂内には既に大きなビニールシートが畳の上に敷かれている。
先にビデオカメラなどを持った報道関係や檀家の人達を入れ、その後、整理券番号1番から呼び始める。整理券は全300枚だが、結局350人くらいが入場したろう。

以下、全員が入った涅槃堂の様子。壁には件の般若心経が展示されている。こちらは常設。
写真は全幅を写せていない。実物はこの右側に更に9行ある。
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当日はそういう訳にいかないが、ある人は、1人静かにこの般若心経の前に立つと、「上からお経が降ってくるような感覚がした」と語っている。

住職の挨拶のあと、黒い上下のスウェットを着て楚々とした金澤翔子が現れ、大きな2枚の紙の前に立った。ポスターとは違う装いだ。
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書き始める前、小さな手を合わせて静かにに祈る。
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神仏でなく、前掲の『母への手紙』の中にあった通り、14歳の時急死した父へ「うまく書けますように」と必ず祈るのだそうだ。
彼女は大きなイベントでも予備練習は一切しない、現場で思うがままに筆を運ぶ。緊張したりあがったりする事も全くない。

大きな筆を観客に示し、その後、ためらう事なく全身を使って書き始めた。確かにこういう自由の利く衣裳でなければ席上揮毫は不可能だと分かった。
向かって右に母康子が座っているが、翔子と伴に逐次位置を変える事となる。
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太い筆を持つのは右手1本(*)。力強く縦に線を引く。墨のかすれる様子。
この写真では見にくいが、母は紙がズレないよう端を押さえている。
 (*)過去のドキュメンタリー映像などで、更に大きな筆を両手で持って書いている
  ケースもあった。
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墨を含ませようと筆を差し出す翔子。墨の器を押し出す母。
何を揮毫するか、それを前提に、墨も紙も全て母が用意するそうだ。
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ぐいっと横に筆を運ぶ。
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大仕事を終え、小さな筆に持ち替えて記名。その横で、浮いた墨を吸いとるため紙を当てる母。
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落款の印を持ち上げて皆に見せる。
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全体重を落款に乗せる。手伝う母とにこやかに顔を見合わせる一瞬。
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終了の礼。ここ迄で30分程か。
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住職らができたての作品を掲げる。
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観客の質疑に応じ、両手を差し出してネイルを見せる翔子。
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20歳の個展の前、翔子はひどい爪噛みに悩まされ、小さな指先が血だらけになる程だった。
個展で多くの人に褒められると癖は治った。だが、また爪噛みが始まらないように、マニュキュアを勧められた。マニュキュアは翔子の日課となった。

その後、マイケル・ジャクソンのコスチュームを着て天真爛漫に踊るサービスも。
これも『母への手紙』にあったように、翔子はマイケル・ジャクソンが大好きで、結婚して赤ちゃんを産みたいと本気で思っていた。
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金澤翔子というまるで天使のような人、その素晴らしい席上揮毫を見学できて嬉しかった。
やはり、この仕事、計画から含めて書き終える迄の全部を彼女一人でこなすのは困難に思えた。

その後もう一度書展会場を巡り、人が減ったあと龍雲寺の本堂を辞した。
振り返ると砂紋が入った庭が美しい。
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