「長いトンネルにも限りがある」
わたしの長い療養中に母が言った。「綾ちゃん、どんなに長いトンネルでも、一歩一歩歩いて行けば、いつか明るい外に出るんだってよ」 この言葉は、わたしの胸に強く刻まれた。そうだ。どんなに辛くても、一歩一歩あるいて行こう。肺結核と脊椎カリエスの十三年、遂にわたしはこの長いトンネルを出ることができた。この母の言葉が、その間大きな励ましとなったのである。 人生には、さまざまなトンネルがある。人間関係のトラブルや、事業の不振、失恋、進学の失敗など。 そのトンネルに入った時、自暴自棄になってかけ出し、暗い中でつまずいたりへたへたと坐りこんだりしてはならないのだ。一歩一歩、踏みしめるように、歩かねばならない。いきなり回れ右をして、再び明るい方にもどろうとしても、それでは人生の問題は解決しない。とにかく、長いトンネルにも限りがある。いつでも希望を持って歩みたいものである。
(三浦綾子・光世著『太陽はいつも雲の上に』より)
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