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2025年11月23日16:55

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テリー・ライリー《SUN RINGS》

11.2(日)、NHK-Eテレの「クラシック音楽館」で放送されたテリー・ライリー(1935- )の《SUN RINGS》を聴く。
端折らずに言えば〈弦楽四重奏、合唱、そして事前録音された宇宙音のための《SUN RINGS》〉となる。
弦楽四重奏は1973年結成のクロノス・カルテット。リーダーのデイヴィッド・ハリントンは、弦楽四重奏団結成からライリーと深い親交がある。
結成50年で、クロノス・カルテットはハリントン(下写真左から2人目)以外のメンバーを一新した。

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番組のインタビューでハリントンは「クロノス」の意味を、ゴヤの《黒い絵》シリーズの1点《我が子を食らうサトゥルヌス》を指して、怒りに満ちあふれた反逆神と答えた。
ギリシャ神話では、クロノスはウラノス(天)とガイア(大地)の子でゼウスの父。父ウラノスを殺して支配者となるが、子らに支配権を奪われる事を恐れ、子らを次々喰らう。しかし、助かったゼウスに討たれる事になる。
ローマ神話ではクロノスはサトゥルノスと同一視されている。

合唱は岩本達明指揮による「合唱団やえ山組」。

収録は2025.6.24、神奈川県立音楽堂で、これが日本初演だった。
一般チケットは12,100円だったとの事。
この公演は、ライリー90歳の誕生日祝賀演奏会でもあった。

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元は2022年に演奏される予定だったが、新型コロナ流行の影響で実現しなかった。
ライリーは2020年から日本に移住、山梨県在住。

本曲は、2002年、ライリーとクロノス・カルテットの共同制作。
今では世界10ヶ国以上で演奏されている。
発端は、惑星探査機ボイジャーが宇宙で録音した音を聴いてみないか、というNASAからの電話をハリントンが受けた事だった。
ボイジャーは1978年、ケープカナベラルから打ち上げられた。その25周年を記念し、ボイジャーが収集した宇宙音を使用して音楽を制作できないか、という申し出だった。
ハリントンはすぐさまライリーに話を持ちこんだ。

惑星探査機ボイジャーは、宇宙を飛行しながら、さまざまな惑星が発する音を録音し、地球に送信してくる。
宇宙音の受信機を製作したのはドン・ガーネット博士。
例えばこの地球も、地球を覆うプラズマの波を発生していて、博士はこれを特殊な受信機で捉える事に成功した。博士によれば、それは宇宙のコーラスのような響きであった、と。

ライリーとハリントンは早速ガーネット博士から長時間に亘るレクチャーを受けた。
ライリーは宇宙音の奥底に潜む音楽を探り出そうと努力を続けた。
そのうち、ライリーは宇宙音の一部が「ビーボップテリズモ」と発していると認識した。これは本曲の第3楽章のタイトルと主題となった。

しかし、仕事は2001.9.11に中断する。

ライリーはその後、宇宙を眺めるのでなく、宇宙から人類を見つめてみようと、考え方を転換した。
これによって、ライリーは合唱を加える事を思いつく。
第8章〈Player Central〉では合唱がジョインする。

ラストの第10楽章〈One Earth, One People, One Love〉では楽譜にこうライリーの指示が書き込まれている、「合唱に参加する一人一人が自分だけの祈りをささやく」。
それは全く個人的で自由な祈りで構わない由。
しかし、その響きの美しさに、ライリーは思う、「数十億の祈りを神はどう導くのだろうか?」。

全10楽章は以下の通り。
1) Overture
2) Hero Danger
3) Beebopterismo
4) Planet Elf Sindoori
5) Earth Whistlers
6) Earth/Jupiter Kiss
7) The Electron Cyclotron Frequency Parlour
8) Prayer Central
9) Venus Upstream
10) One Earth, One People, One Love

ボイジャーは今も宇宙を浮遊し続けている。
ボイジャーの本体にはゴールデンレコードと呼ばれるディスクが取り付けられている。
それはまだ見ぬ宇宙人に向けたメッセージでもあり、地球の生命体や文化の存在を伝えるための音と画像が収められている。
コンサートでは、それらの画像とボイジャーが収集した宇宙音が同期され、カルテットの演奏に合わせホールのスクリーンにコンピュータで出力される。

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映像 ブライアン・スコット
音響 スコット・フレイザー

カルテットメンバーの前には、「トリガー」なるものが設置されている。
トリガーにはセンサーが取り付けられていて、メンバーが手をトリガーに近づけると、宇宙音が発せられる仕組みである。
普通のコンサートでは見られないこの不可思議な所作が、神秘的で、面白い。
彼らは弦楽器以外にも、宇宙音を発するトリガーなる楽器を演奏する事になるのである。
トリガーの演奏ポイントはライリーによって楽譜にきっちり書き込まれており、適当に奏している訳ではない。
 
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