クソコロナにありながら、密を求めて、小さな小さな映画小屋に嵌りつつあるようだ。
鵠沼海岸《シネコヤ》は赤いベルベットに包まれた座席数15のラグジュアリーサロン。
何よりも溢れるばかりの映画専門誌に囲まれたウェイティングルームは、映画マニアにとってのラストリゾート。
小さなコヤではオーナーやモギリ嬢との会話も楽しいに決まっている。

「(映画原作小説などの)書籍を外して、映画関連本だけにしようかと思ってるんですよ」

「神保町の矢口書店、ご存知ですか?」

「矢口書店…?」
そう言いながら、手元のメモ用紙に”神保町、やぐち書店”と書いている。

「映画や演劇、古典の専門古書店で、興味深い資料が揃うと思いますよ」
キネマ旬報のバックナンバーも、もう少し揃えていきたいのだとか。

「ついでに、ぴあ、シティロード、あんぐるのバックナンバーもあるといいなぁ」
そんなことを語り合いながら、いつか我が家が新築のあかつきには、こんなシアタールームを作ってみたい。今さらながらの夢物語。
”もはや埼玉”と言われる東京都北区。田端駅で下車して、徒歩6分
《CINEMA Chupki TABATA》
《シネコヤ》のようなサロンというよりは、小さな小さな映画館。座席数は20ほど。
しかもクソコロナの対策で、

「今は定員12名で運営しています。カップルで来られた場合は、隣に座っていただくのも良しとしていますけど

」
小さな館内に入ると、最前列には盲導犬が静かに伏せて、目の不自由な映画ファンを見守っていた。シートひとつひとつに、イヤホンジャックが付いていて音声ガイドとともに作品を鑑賞できる。さらには日本映画であろうと、耳の不自由な映画ファンのために、全編日本語字幕付き。日本で唯一のバリアフリー/ユニバーサルシアター。
指定席につくと、隣にはスノークのおじょうさん。今日はムーミントロールな気分で鑑賞しよう。
そういえば、映写室にはニョロニョロもいた。
映画館名の Chupki は、きっとフィンランド語に違いない。
未だブランクが残る壁には、来館した映画関係者のサインに埋まる。
当たり前のように片桐はいり。そして、在る日の樹木希林。

「いい映画館ですね。鵠沼海岸の『シネコヤ』のようにフレンドリーです」

「ありがとうございます。『シネコヤ』いいですよね。オーナー同士が、よく情報交換しているんですよ。わたしも近く(鵠沼海岸や片瀬江ノ島)に住んでいたら、毎日でも行きたい場所です(←行かない)」

「ところで Chupki って、何語ですか?」
さぁ、フィンランドと言いなさい。ムーミンカフェの話へとつなげるから。

「アイヌ語なんですよ

」
アイヌかい。
意味は『自然の光』
「ここはとても小さいけれど、いろんな人に会える場所。出会う映画は宇宙規模」(オーナー:平塚千穂子さん)
そうだ。日本全国にある小さな小さな映画小屋を訪ねてみるか

映画レビュー
112『サマーフィルムにのって』★5.
観るほう専門で映画のメイキングに携わった経験はない。
それだけに、こんな映画を観ると、もうスクリーンの中の人たちが羨ましくて仕方がない。
大学の学祭や、高校の文化祭中止の続くこの1、2年。
ほんとうに罪づくりなクソコロナよ。
さらに『坂』と聴くだけで『48』とともに避けてきたキャストだけど、最近は坂OGの活躍が目覚ましく、しっかりした演技が好ましい。この際、あっちゃんも追い掛けてみるか。←追い掛けない。
その坂OG。誰だか名前は知らんけど、本作で初めて知ったハダシの魅力に憑りつかれたようだ。『賭ケグルイ』は生涯観ないだろうが『息をするように』は、きっと観る。
タイムトラベルなどというSFまで納得できるほど、徹頭徹尾、愛らしく物語が進んでいく。
令和3年マイベストランキング級。良い映画をありがとう。
114『寝ても覚めても』★4.
《CINEMA Chupki TABATA》にて初鑑賞。
題名から想像して、寝ても覚めてもあればっかりのシーンなのかと楽しみに駆けつけたが、ちゃうやん。
バクと朝子のイチャイチャ振りは、まるでリアルラブのように微笑ましい。
偶然の出会いが多すぎて、本来なら辟易するほどの展開だけど『ドライブ・マイ・カー』を与えてくれた濱口監督に敬意を表して★4つ。堤監督だったら★2にしておいた。
111『藍に響け』★2.
《シネコヤ》にて鑑賞。
TPOとは都合のいいもので、このサロンで鑑賞すると、どうしたって作品の質よりも、雰囲気だけに満足する。
本音を言えば、作品の評価は★1つ。
美少女同士の恋愛ものかと張り切って参上したのに、ストーリーは嫌みな女子たちのスポ根もの。
全てのキャラクターにも共感を得られず、好きになれなかった。
和太鼓のシーンは見事だけど、ふてくされ顔で叩いているなら、いくら上手でも不協和音しか聞こえてこない。
作品を観ながら終始思っていたのは、大学時代に後輩である女子高校生部員たちをコーチしたその経験。川オスは部員たちに恵まれた。
すべては笑顔あってこそ。

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