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(承前)
《EST4》
『エストニア』という具体的な国名が耳に届き始めたのは今年の3月だった。
それから、幾つかの変遷と幾つかの道程を経て、いよいよ約束の地へと向かう。
2019年8月2日、朝7時。
モーニングも食べずにチェックアウトして、前日の下見通りにトラムに乗る。
いや、違う。また戻ってくるのだからチェックアウトはこの日じゃない。
立ち寄ることのなかったタリンの近代的な新市街地を眺めながら、たどり着いたバスターミナル。
8時オンタイムの出発を待つLux Express 729便
2時間半の旅だからと、少しだけ贅沢してエグゼクティヴシートをブッキング。
ターミナルにはゆったりとしたカフェも準備されているが、コンビニには行列ができるほどモーニングを求めるツーリストたち。
ここから他のバルト2国(リトアニア・ラトヴィア)へと長距離の旅へ出る人々は大きなトランクが目立っている。
729便には、エストニア第2の都市・タルトゥへ向かうおいらたち乗客が、意外と気軽な雰囲気で乗り込んでいく。
車窓にはいつの間にかスイスのような草原が広がってきた。
牛。牛。牛。
田園風景が続く。森と湖と丘陵。
この先に約束の地が待っている。
10時30分。
やはりオンタイムでLuxがタルトゥのバスターミナルに到着する。
事前に調べていた情報によると、さらなる目的地 Raadi へは路線バスでほんの10分、距離にして2km程度と聞いていた。
セントラルターミナルで探すべきポストは『27番のりば』
これが、大きな交差点を四方に幾ら探し回っていても見つからない。
幾つものバス乗り場はあるのに『27』がどこにも見つからない。
ロシアの占領下におかれていたエストニアは英語識字率が低く、

May I…を使う相手は「英語教育を受けている若者のみ」という制限付きのようだ。
おそらく姉妹であろう女子大生に、目的のスポットそのものを訪ねてみたが、

「たぶん、近いと思うがわからない

」という答え。
それでも、セントラルターミナルで迷子になっている東洋人を捨て置くことができない、と一緒になってバス乗り場を探してくれた。およそ5分ほどのアバンチュール。

「トラベルエージェントを目指しているので、このようなお手伝いができて嬉しいわ

」
確かに、こう言っていたような気がしている
おいらのリスニング能力が確かであれば。
特に時間に縛られた旅ではない。
とはいえ、トラベルエージェントの卵の手足をいつまでも煩わすのは本意でない。

「ありがとう。もう大丈夫です。タクシーで行ってみます

」
彼女たちと泣く泣く別れを告げ、タイミングよくやってきたタクシーを止めて行き先を告げる。
あれっ?どうやって告げたのだろう。
間違いなくドメスティックな運転手さんで、自ら「英語はわからんよ」と英語で伝えてきたはずなのに。きっと、どうにか理解してくれたのだろう。
€7.程度の運賃で10分ほど。
見えてきた
遮るものなどただの一つもないのだから、目的地に近づけば自ずから見えてくる。
《Upside Down House》
これは単なる前座でしかない。
養老天命地をイメージしてみたが、入ってみると子どもたちの遊びの場。
それよりも逆さまの家の中が遊園地のマジックハウス同様、三半規管が揺れている。
この意外な建物も約束の地にあっては、ほんのアペリティフ。
エストニア、タルトゥ、ラーディ。
小さな国の小さな都市の小さな街にそれはある。
《FIN5》佳境。
(つづく)
■ロストバゲージ、スリ、ぼったくり…「海外旅行トラブル」エピソード集
(TOKYO FM + - 09月02日 11:50)
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