マネージャーさんからLINEが入る。

「帝劇のチケット2枚あるけど、誰かと行けますか

」
行かないわけがない。(←行く)
ミュージカル『Beutiful』は気になっていた作品の一つ。
芝居の内容は知らないけど、フライヤーに書かれていた
「2014年トニー賞、オリヴィエ賞、グラミー賞を受賞!」に目を引いた。
譲ってもらえるチケットは2枚。
オスカー家、鉄の掟。
どうせ興味がないと分かっていても、まずワイフさんに声を掛ける。

「木曜日にミュージカルあるけど、行けないよね?」

「ん、その日は(高校野球の)オープン戦終わったら時間あるから行けるよ

」
OMG。
有楽町で待ち合わせをしていると、やってきたワイフさんたら、

「試合延びて着替えられなかった」と、少年野球選手のような出で立ちでやってきた。
TPO。

「お腹がすいた」と、ドトールでの軽いディナー
そしてひと言。

「あ〜、眠い。100%寝るね

」
1000%寝るはずだ。
『Beautiful』(Wキャスト:平原綾香/帝国劇場)★5.
チケットをいただいたマネージャさんにお礼を告げて、後方席に並んで腰掛ける。
この舞台の売れ行きが思わしくないことは、かなり評判になっていて、例えばヤフオクでは定価13,000円のS席が5,000円でもさばけず、空席救済サイトオケピやクーポンサイトではプレゼント抱き合わせで3割引販売。
アメリカで成功したミュージカルであっても、劇団四季と宝塚、あとはレミゼや屋根の上のような定番もの以外はなかなか正当な評価を受けられない日本市場。
おそらく、おいらたちの周りの観客も、回り回ってきた招待券や株主優待券などだろう。
その証拠に、舞台が始まってからゆうゆうとやってくる客や、舞台が始まっているのにボソボソと会話する客や、舞台が始まっているのにカシャカシャと菓子を開く音。
オペラグラスで覗くと平原綾香はじめ、演者たちは生ピアノ、生ギターを演奏し、素敵な楽曲を惜しむことなく披露する。
そういえば、『Beautiful』の主題はキャロル・キングの半生。
恥を忍んで、大竹しのぶ。
否、
恥を忍んで書き連ねるが、キャロル・キングをキング牧師みたいな太っちょ黒人できっとソウルフルなブルースが上手いシンガーだと、つい28時間前まで思っていた。
では、なぜ主役が平原綾香?
きっと、キングの愛人の物語なんだろうな、と。
ところが、披露される曲はどこかで聴いたこともあるし、ホール&オーツ・マイベストの曲もあった。
隣でスヤスヤと寝息をたてているはずのワイフさんは、平原綾香の堂々とした歌声に聞き惚れて眠れない。
キャロル・キングの逸話真弓は、ありきたりのサクセス・ストーリーだし、厳しく云うなら平原綾香+メンバーのライブパフォーマンスが際立つ展開。
それでも、流れてくる曲の数々に魅了され、『ロコモーション』ではおいらと、遠く離れた誰かだけが、遠慮がちにハンドクラップ
立ち上がりたくなるほどに興奮していた次の曲がこれ。
★5.決定なのだ。
ダブルキャストで、初日が2回。
前日、水樹奈々が迎えた初日を、この日、平原綾香がこなしていく。
せっかくの好舞台。
これはもったいない。
例えば、オープニング前に『ロコモーション』の手拍子を練習させたり、キャロル・キングの曲を流したりして、観客全体がイメージトレーニングを積んでから始めれば盛り上がっただろうに。
そして、劇場がもっともっと小さくキャストとゲストが触れ合うほどのキャパシティなら、ディープなファンが生まれてくるだろうに。
帝国劇場もシアターオーブも、一体感を持つには大きすぎる。
そして空席を埋めるために、興味のない人々が枯れ木も山の賑わいを務めるなら、ステージの素晴らしさは伝わらない。
なんて感想は、ラストを迎えて杞憂に終わる。
カーネギーに立つキャロル・キングがピアノソロを披露して暗転、エンディング。
満場、大喝采。
そして、BRAVA!と指笛。
スタンディング・オベイションはカーテンコール1回目から始まった。
驚いたことに、左隣にいたワイフさんも躊躇なくスタンディングで拍手を贈る。
新宿コマ『WeWill Rock You』以来、12年ぶりの反応だと思う。
つまらない、と感じている観客はすでに1幕で席を離れていた(後方は空席が目立っていた)から、ラストまで残っていた大半の人々は、おそらくおいらと同様、期待していなかった反動で拍手をやめないでいる。
時間にして8分、途中、平原綾香の挨拶も含めて合計6回ほどのカーテンコール。
マネージャーさん、ありがとう。あと、その付き人さん、キャラメルをありがとう。
帝国劇場をあとにして思ったこと。
キャロル・キングの『タペストリー』を借りてこよう。
そして、ダブルキャストの片割れ、水樹奈々の舞台も観てみよう。
なんとなく、そんな夢がすぐに叶う With a Little Luck なう。
有楽町駅のコインロッカーから球審セット入ったのトランクを出して、ガラガラと改札口を抜けていく。
階段に近づくと有無を言わさず持ち手が交代。これもオスカー家、鉄の掟。

「何曲知ってた?」

「ゼロだね

」
そんなことを言いながら、感動していたことを知っている。
■「エモさ」を求める若者たち 一番お金を使いたいのは「思い出に残る体験」「感動的な体験」
(キャリコネ - 07月28日 13:51)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=210&from=diary&id=4690608
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