人が悲しみに遭った時、その悲しみを人々に分かつとその悲しみはうすらぐという。そして喜びは多くの人に分ければ分けるほど、増えるという。
自分ひとりでひそかに喜びを噛みしめているならば、その喜びはほんのわずかなもので終わってしまう。そのほんのわずかなものさえも、分ければ分けるほど増えるとは、なんと不思議なことだろうと、私は少女の頃、よく思ったものだ。
悲しみにしろ喜びにしろ、ひとりの胸に秘めておくべきものではなさそうだ。人間が生き生きと生きるためには、悲しみも喜びも分かち合う。そこに人間の幸せの秘密があるのではないか。
(三浦綾子『イエス・キリストの生涯』)
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