<隣人を愛することを神は命ぜられた。全人類をではなく、隣人をである>
榎本保郎牧師の言葉に考えこむ。
職場に行けば隣の机の人が隣人であり、向かいの机の人が隣人だ。学校に行けばクラスメイトが隣人だ。家に帰れば隣近所の人はむろんのこと、家族もまた隣人だ。この、自分の隣にいる人を愛するためには、具体的な行動を必要とする。朝夕の挨拶に始まって、積極的な親切を尽くさねばならない。夫も隣人であり舅姑も隣人である。その隣人を愛することは、榎本先生の意に反するようだが、全人類を愛するほどむずかしい。
(三浦綾子『北国日記』)
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