1.12(月・祝)、2024年第12回浜松国際ピアノコンクールに優勝した鈴木愛美(2002- )のリサイタル「アクト・ニューアーティスト・シリーズ第150回記念特別版」がアクトシティ浜松中ホールで行われた。
浜松国際ピアノコンクールの優勝者には、数多いコンサート(ソロもオーケストラとの共演も)が最大の賞品として約束される。コンクールのホームページによれば、鈴木愛美の場合、本選後27回(海外含む)ものコンサートが計画されていて、既にその真っ最中。今回のリサイタルもその一環である。
音楽会にはばたく若い演奏家にとって、こんなに素晴らしい支援もないだろう。
尚、2025年7月にOrchid Classicsからデビューアルバムも出ている。
私は2.23(月・祝)の富士山静岡交響楽団第135回定期演奏会に行く予定だが、それにも鈴木愛美は出演する事になっていて、シューマンのピアノ協奏曲を弾く。
名古屋フィルハーモニー交響楽団とも3.13,14の両日、第543回定期演奏会で同じシューマンを演奏する事になっているので悩んだが、その他のプログラムに対する興味から、前者を選択した次第である。
まずは今回のプログラム。
ハイドン ピアノ・ソナタ第13番ト長調Hob.XVI:6
バッハ 平均律クラヴィーア曲集第2巻 第22番変ロ短調BWV891
シマノフスキ《メトープ》Op.29より〈セイレーンの島〉〈ナウシカー〉
フォーレ《ヴァルス・カプリス》第2番変ニ長調Op.38
〜休憩〜
シューベルト ピアノ・ソナタ第18番ト長調《幻想》D 894/Op.78
アンコール
シューベルト《楽興の時》第2番変イ長調D 780/Op.94
アフタートークが行われ、そのあと更にサービス。
同《楽興の時》第3番ヘ短調
プログラムは、全て浜松国際ピアノコンクールの第1次〜3次予選で演奏した曲から選んでいる。(本選はベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番だった。)
それを、今回のリサイタルとして順序を考え、再構成したものと言えるだろう。先夏に発売したCDも全く同じ考え方だ。
遡ると、2023年の第47回ピティナ・ピアノコンペティションでも全く同じ曲を演奏して特級グランプリを受賞している。
他にも同年の第92回日本音楽コンクールピアノ部門で彼女は第1位を獲得しているが、その演奏曲迄は調べていない。(本選はベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。)
今の彼女の興味は、ともかく完成度を上げる事に最大の力点があるようだ。本リサイタルにおいても、完成度の向上は充分に発揮されていた。
今回のアフタートークでは、司会者に今後のレパートリーについて問われ、シューベルトが彼女にとって特別な作曲家で、彼の音楽を突き詰めていきたいと答えていた。
シューベルトに対する強い愛着を示している最近のピアニストに、ジャン・チャクムルや小林海都などもいる。だが彼らは、20世紀の作品も積極的にチャレンジしている。
レパートリーの幅をどんどん拡げていくというスタイルには、少なくとも今の鈴木愛美は、目が行っていないようだった。
とは言え、シューベルトにピアノ協奏曲はない(笑)。
浜松国際ピアノコンクールの優勝者プライズの各コンサートその他からオーケストラとの共演曲をチェックすると、ベートーヴェンピアノ協奏曲第1番〜4番、モーツァルトの第9番《ジュノーム》,第20番、シューマンなどとなっていた。
独奏曲でも、彼女のプログラムには20世紀に足を突っ込んでいる作曲家はシマノフスキとフォーレしか見当たらない。ドビュッシーもラヴェルも、プロコフィエフもバルトークもプログラムにあがった事はない。(浜松国際ピアノコンクールで課題曲となった現代日本作曲家 猿谷紀郎の《Division 28 for Piano》は別として。)
(続く)
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