
映画レビュー
061『怪物』★10.
映画が終わると、隣に座っていた見知らぬおばさんに声をかけられた。

「わかりましたか?…」
なるほど、確定されたエンディングではない作品だから、”わかるか、わからないか”を尺度にしてしまって、悩んでいるらしい。

「わかる、というより、感じるものがありました」
こう答えると、隣のおばさん、”ふ〜ん” みたいな。
結局、おいらの答えさえわかったか、わからないかのような顔つきで去って行った。
モンスターペアレントに対しての明確な答えが知りたいと、或いは勧善懲悪こそがドラマの魅力だとこの映画を選ぶなら、それはきっとミスチョイス。
そういえば、日経新聞の映画評すら「火事の真相と校長先生の人間像が曖昧で、そこが引っ掛かる」と、薄っぺらい評論を書き晒していた。
そんな単純な作品ではないからこその価値あるもの。
この映画を3部に分けるなら、自分は2部のスタートから、シートの背もたれに背中をくっつけて、文字通り直立不動のような姿勢でスクリーンを眺めていた。
トロンボーンとホルンの不協和音は、見事としか言いようのない描写。
いわゆる、いつまでもエンディングが来てほしくない映画。
上映時間が3時間でも4時間でも構わない、そんな貴重な秀作だった。
カンヌでLGBT関係の受賞をしているから、それ自身がネタバレということになってしまったけれど、予習の必要はまったくない。
50歳の同窓会。
小学生の同級生2人から「ぼくがいじめられてシカトされていた時に、オスカーくんだけ話してくれていた」と告げられた。
女子からは「休み時間に外へ出られないでノートに絵ばかり描いていた私に、外から帰ってきたオスカーくんから『絵が上手だね』っていってもらったことを覚えてる」とも。
そんなことを思い出しながら鑑賞していた自分がいる。
脚本はもとより、映像美はアートそのものだった。
『セカチュー』によって高松市庵治町が聖地となったように、やがて富士見のトンネルや諏訪の立石公園に怪物ファンが押し掛けることだろう。
坂本龍一の音楽は昔からこの映画のためにあるようなフィット感。良い作品を残してくれました。
指定席ではない時代。つまり、昭和の映画館だったら、そのまま座り続けて2回目を観ていたに違いない。
060『最後まで行く』★3.
一方、こちらの方はやや期待外れ。
韓国映画出身のクライムサスペンスと思いきや、安っぽいバイオレンシーなアクション映画に成り下がっていた。
岡田(小)と綾野(剛)はとても良いんだけれど、オリジナルもこんな程度なのかな、という消失感。
オリジナル版を見逃しているので、多くを書けないが、もっと深い映画を観たかった。
056『目の見えない白鳥さん、アートを見に行く』★4.5
タイトルが本物なら”いったい、どうやって”がファーストインスピレーションになるだろう。
しかし、自分だって「芸術が何たるものかを知らない」くせにアートを見に行っている。
或いは、結論のない映画にあっても「感じるものがある」なんてうそぶいている。
白鳥さんは完全に目が見えない。生半可なハンデではないだろう。
それでも、日本中の美術館に通って、多くの作品を堪能しているというドキュメント。
ミニシアターで見逃していた作品を、ぼくの一番好きなサロンシアターで鑑賞できたことも僥倖だった
この作品を鑑賞したお陰で、どうしても行かなければならないスポットが2つ生まれた。
越後妻有『夢の家』
そして、2度目になるはずの『ダイアローグ・イン・ザ・ダーク』。
今年の目標に追加しておこう。
■カンヌ2冠の衝撃作『怪物』で安藤サクラを超える“ゾッとする凄み”を放った名女優
(女子SPA! - 06月03日 10:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=156&from=diary&id=7436318
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