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2022年05月23日20:31

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1983/2022オークス邂逅

【1983年5月22日】
19歳の少年が19歳の少女を誘って、人生初めての競馬場デート。
当時のアナログ日記を追いかけるとこんな感じ。
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先着3000名に配布される記念腕時計は、正門に到着した9時30分にはすべて捌かれて手にすることはできなかった。
1レースをケンにして、2レースから内馬場で日向ぼっこをしながら、100円勝負の条件戦を楽しんでいる。
4レースのスタート前。地下道からスタンドへと出た時に肩を叩かれた。
その主が刑事だったら、馬券法違反で逮捕される未成年カップルたち。
振り向くと紳士・淑女の2人から「これ、指定席の券。使ってくださいね手(パー)」と、『4階特別指定席券付入場券 へ-593 へ-594』の2枚が渡された。
呆然としながら御礼を告げる。去っていく紳士と淑女。
日本中央競馬会だったこの時代。競馬場というものは、酒と馬糞の匂いに覆われて、若い女性など数える程度。10万人の観客の中でも相当目立つ存在だったのだろう。
奇跡みたいな瞬間だった。
蟹座「特観席、もらっちゃったげっそり」
5歳から公営競技場通いを始めているが、19歳にして初めての指定席。
警備員の訝し気な視線を掻い潜りながら、少年少女が馬主席のようなハイグレードな指定席で、その後の4時間を暮らすことになった。
眼下には107,420人の下々な観客たち。完全なる上から目線。
ところが、購入額は相変わらずのワンコイン。500円玉の発行前につき、100円投票が続けられる。
猫「さっき、当たったわねドル袋」
つまり聖徳太子が飛び交う専用売り場に100円玉購入するものだから、少女の買い目は売り場のおばさんたちに駄々洩れで、誰もがぼくたちの味方だった。
マークシートなんてない時代だから、買い目がコミニュケーションに繋がっていた。
きっと、そんな和やかな雰囲気に囲まれていた。
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オークス史上初の28頭立て。そして単枠指定2頭もクラシックレース初の出来事。
従って7枠、8枠には5頭立てという大混雑。
昭和の競馬場。床には吸い殻と外れ馬券に溢れ、スタンドの陰には酔っ払いの死体が転がっている。どこかで殴り合いの音と救急車のサイレンがシンクロする。
平成のファンには単枠指定など知る由もない。
特観席をいただいたことが、この日の運気最高地点。
パドックで流されていたラジオから「ダイナカールにはフケが出ていますね」という、評論家とやらのコメントが気になって、優勝馬を外してしまう結末。

そんなダイナカールがやがて繁殖馬となり、エアグルーヴを産み、エアグルーヴがアドマイヤグルーヴを産む。
アドマイヤグルーブはアメリカ産の外国牡馬のタネを抱いてキングカメハメハをこの世に贈り、キングカメハメハのタネはドゥラメンテへと引き継がれる。

【2022年5月22日】
3年掛かりでようやく巡り会えた東京競馬場の入場券。残念ながら指定席は外れたが、自由席はかなりの余裕でゲットすることができた。
オークスの舞台にやってきた、39年振りの邂逅。
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大人になった証拠。府中本町駅から大多数のギャンブラーを尻目に、閑散とした改札口から大國魂神社を目指していく。
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目当てのレース前についてしまったら、メインレース前に文無しになるリスク。自分の馬券下手は承知の助。できるだけゆっくりと、競馬場へ入ればいい。

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ゴミ一つ落ちていない競馬場。行ったことはないがロンシャン競馬場って、こんな感じなのだろうか。今度、行ってみよう飛行機
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とても残念なことにQRコードの入場は、1983年のような記念入場券の発行がない。
その代わりになるのか『RACING PROGRAM』が、飛ぶように抜かれていく。
メルカリ価格5冊セット300円。ダメだよ、一人一冊限り本
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飛び込みの第6レース。ホームスタンドやパドックを巡り、練習用にゴール前で歓声を送る。メインまでまだ3時間。39年前の記憶をたどり、内馬場へと足を向ける走る人
あのころは、傷痍軍人がアコーディオンを鳴らしていたかのような薄暗い地下道だった。
令和にもなると、トンネルの内壁にサラブレッドの基礎知識。
とても勉強になったウマ
内馬場では家族連れが遊園地で遊び、カップルたちは芝生に寝そべって悠々とアンニュイな時間をつぶしていた。
ばくち場とは程遠い、とてもいい雰囲気。
少頭数の第7レースを少し買って、内馬場のルーフトップから競走馬たちを追いかける。

内馬場からスタンドへ向かう地下道。
39年前、ぼくに指定席券をくれた紳士は、一体、どんなにステキな人だったのだろう。
今、手元に指定席券があったら、前からやってくる若いカップルに手渡すことができるだろうか。
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10レースをスルーしてオークス馬がランウェイするパドックへと陣取った。
クラシックレース前のレースに《見習い騎手戦》がないことに違和感を覚えながら。
一眼レフの高級カメラを肩に、3歳の牝馬たちを連写する女子たち。
昭和の時代はパドックでラジオを鳴らし、やってきた騎手にヤジを飛ばすオヤジたちに囲まれていたのに、まるで社会見学にやってきた大学のゼミ生たちのような立ち居振る舞いの人々。

思い出のダイナカールの血を受け継ぐドゥラメンテは、このレースに4頭の子どもを立たせている。
その中において、川オス本命のスターズオンアースは他の17頭を圧倒するほどの出で立ちで、まるで牡馬のように堂々と闊歩する。
その後ろを歩くのが17番・ニシノラブウインク。本来ならスターズの前を歩く順序だけど、チャカツキの癖馬なのだろう。最後方を物見遊山しながら楽しそうに歩いている。
突然立ち止まり、高安のようにどこか前上方を見つめる姿に、パドックから「可愛い」の声が思わず上がるペンギン
最前列のおっさんは、ニシノラブウインクに手を振っていた。
パドックで一番凛々しい馬と調教助手に贈られる『ベストターンドアウト賞』は、3番・アートハウスが受賞したが、馬券師(自称)川オスのお見立ては「眠そうな眼」が気になり、切り捨て御免。18番とともに色艶が気になったのが8番・ナミュール。そんなパドック診断は20分後に正解が訪れる。
ばくち場なんて雰囲気は一切なく、混雑にもしっかりと譲り合い、いくつもの笑顔。
ウマ
18頭が本馬場入場に向かい、三々五々、馬券売り場やコース前へとギャンブラーの行列。全財産をマークシートでぶち込んで、クソコロナなどどこへやら、ホームスタンド前に立錐する人、人、人。
思い切ってゴールが視野に入る最下段指定席の脇階段に新聞紙を敷いて、レースの開始を待った。
ゲート入り直前。
5番・サウンドビバーチェが4番・ルージュエヴァイユから足蹴にされ、びっくりして逃走した。残念ながら発送除外。
枠連しかない時代、これが人気馬だったら大変なことになってしまうので『単枠指定制度』が設けれ、やがてそれは馬連の誕生につながった。
平成の競馬ファンに教えてあげたい豆知識。
10分ほど遅れて、再び場内に緊張感がやってくる。
赤い旗が振られて白いホーンセクションによる生ファンファーレチャペル

すぎやまこういち先生に足を向けては眠れない。

フォト
ウイニングランにスターズオンアースがやってきた。
39年前から約束されていた勝利。
文字通り”Thoroughbred”。
開放された日本一の競馬場に集った30,552人走る人
昭和の時代と比べるのも野暮だけど、赤鉛筆を耳に挟んだおっさんは消え去り、赤ら顔してワンカップを右手にクダを巻いているおっさんも鬼籍に入っていく。
周りを見渡せば、マナーフルな平成の若人たち。
競走馬たちがゴール前にやってきても、指定席の人は立つこともなく、立見席の人は歓声も抑えて手を挙げている。

スターズオンアースがゴール版を突き抜けて、264秒の闘いが終焉を迎えた。
馬券の成績などどうでもいい。
間違いなく外れた人のほうが多いはずなのに、彼ら彼女たちの顔が笑顔なんだ。
2年も3年もじっと耐えて、ようやく競馬場にやってきた人たちは、何もかもがイノセント。とても素晴らしい空間だった。39年前の忘れ物が見つかったプレゼント



ウマ■【オークス】スターズオンアースが差し切り牝馬クラシック二冠達成!
(netkeiba.com - 05月22日 16:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=261&from=diary&id=6966179

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