杉本博司、73歳。
現代美術作家という括り方が正しいのか、それとも写真家であり骨董屋?
追求すれば、彼の仕事は彫刻、インスタレーション、演劇、建築、造園、執筆、料理…と無限にマルチプライズされていく。
直島の護王神社で、おそらく初めて彼の作品を体現し、そののちにベルサイユ宮殿トリアノンで開催されていた個展を、日本人たった一人でたっぷりと鑑賞したことが、その後の追っ掛け人生のトリガーとなったのかも知れない。
思いつくまま列記する。
直島、ベルサイユ、清春芸術村、島根県美、京都京セラ、京都両足院、熱海MOA、丹波篠山、白金・六本木・南青山・表参道、銀座ギャラリー小柳、そして小田原江之浦。
これだけ歩いても、まだまだ訪ねていない杉本スポットが多くある。
杉本博司に関しての一番の心残りが、ご本人との対面に恵まれていないこと。
隈研吾、藤森照信、画家であればなんといっても松山智一。あまり期待していないタイミングで、偶然が必然に変わり憧れのアーチストと出逢い、会話を果たす。シロウト冥利。
『特別展 春日神霊の旅ー杉本博司 常陸から大和へ』(神奈川県立金沢文庫)
京都の両足院で親しく京大院生との会話を交わしていた中で「神奈川県なら金沢文庫での展覧会が来年企画されています」との情報を得て、調べてみたら1月29日の土曜日。
”初日オープニングに行けば、杉本先生に逢えるに違いない”…そんな神様のような先生からの啓示を受けて、さて初めての金沢文庫

小学生時代、手あたり次第の女の子に「指でくちびるを広げながら”かなざわぶんこ”って言ってみて」と懇願して、女の子の口からほとばしるはしたない言葉に喜んでいたあの頃。自分にとっての金沢文庫とは、それだけのことで、それ以上のものがない。
予定通り開館10分前に到着し、大行列を想定していたが、待機する先着は若者カップルと、カメラおじさん1人。そういえば、日時予約もあっさりと取れてしまい、ダブルブッキングさえしでかした。
特別の入場割引を受けているすきに、文庫長(館長)を見つけて尋ねてみる。

「すみませんが、両手の人差し指でくちびるを左右に開いて、”かなざわぶんこ”と言っていただけますか?」

「はっ?」
いけね、間違えた。

「もとい。今日は杉本先生はいらっしゃるのでしょうか?」

「いや、今日は予定にありませんね。昨夜、プレス向けのレセプションでいらっしゃってましたけど

」
病膏肓に入る。
この日に合わせて、正月の松が明ける前に春日大社へも行ってきて、杉本先生に逢えた時の話題を豊富に仕入れていたのに、目論見を外す。
逢えたらサインをいただこうと『芸術新潮』とDVD『はじまりの記憶』を持ってきてはいたけど、文庫長に頼むのもあれだ。
しかし、これは2か月後に宿題が伸びただけで、諦めたわけではない
常にこんなリスクヘッジ
入室するとまずは徳川家康を彷彿とさせる男神像が置かれ、その掛け軸の滝が華厳の滝であることを確信させる。
一方、道真公の表装に『放電場』のバックアート
道真公が学問の神様であると同時に、雷神であることを示唆する仕掛け。
杉本作品の多くは、かような仕掛けが用意され、奥深く古代を探求できる副次的な学習が自然にできる。的確なガイドも聴き易く、とてもタメになる。
杉本博司のもとに集まった怪しげな骨董から、平安・鎌倉・室町文化をモチーフに、平成・令和の作品に仕上げられていく
丸い目の鹿がいかにも可愛い
陰翳礼賛。
8つの光学硝子五輪塔が『十一面観音立像』を囲む。
どれだけ眺めていても感動は薄まらない。
★5.
《称名寺》
もともとは称名寺の境内にあった金沢文庫。故に、トンネルでつながっている。
本堂で今日のこの日に感謝の頭を垂れ、寺務所で御朱印を拝受する。

「鎌倉殿には出られるんですか?」

「うちは義時の孫の代になるから、多分、取り上げられないんじゃないかって話しています。ただ、ドラマのあとの《ゆかりの地の紹介ビデオ》で出られればいいなぁ、って期待しています

」
なるほど。金沢北条氏、あまり活躍せず。
八角堂があるからと往復40分ほどのハイキングに出掛けてみたが、頂上にぽつねんと佇む八角堂は、まるで公衆便所
だからと言って、二子の山を縦走した1万歩は、メタボ体質のおいらにとって無駄ではない
■源氏物語の12人が和菓子に 六条御息所の情念、赤いあんこで表現
(朝日新聞デジタル - 01月30日 11:34)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6831890
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