岩波ホール閉館のニュースが伝わってきた。
初鑑賞は15歳の時。小遣いも少なく(当社比)名画座ばかりの映画少年だったおいらが、一念発起して岩波ホールの敷居をまたぐ。
鑑賞作品は『ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー』
作品の中身の記憶など、全くないのに岩波ホールで鑑賞したというステイタスだけが記憶に残っている。当時は高野悦子さんが現役の館長で、エキプ・ド・シネマの理想や映画配給の在り方をキネマ旬報誌上でよく語っていた。
いつからだろう。きっと、高野さんが館長を退いてからなのかもしれない。
岩波ホールの敷居はどんどんと高くなり、ホスピタリティというものを全く追究しない劇場へと成り下がっていく。
サービスデーは月1のみで、割引率も業界最低。会員だけが、うちの客。
かつてのこと。
ようやく10階のシアターにやってきた老女3人組に対して、チケットを買っていないからと「1階のチケット売り場で買ってきてください

」と放逐した場面に出会った時、この映画館の本物の醜さを知った。毎回毎回、こんな仕打ちをしているのか。
指定席でもないくせに、動線の気遣いのなさに驚いた。(その後、しばらくして1階のチケット売り場は廃止されたはず)
上映作品一流、劇場三流。
素晴らしい作品を上映するプライドだけに胡坐をかいて、努力のない経営に閑古鳥が鳴きだした。エキプ・ド・シネマの役割は、どんなミニシアターが引き継ぐのか。
できれば人に優しいコヤがいい。
《阪奈2》承前
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大阪にやってきた一番の理由がここ。
《スキュルチュール江坂》
未だに覚えられない美術館名。
イタリア語の先生によると、彫刻=Sculptureのイタリア語読み。
”p”の発音が、どこかへ消えている
大阪市民はもとより、地元の人でさえニッチなスポット。こんな場所を知った切っ掛けが、箱根彫刻の森でメンテナンススタッフに伺った「あなたが一番好きな美術館は?」の答え。

「ス〇▽×◇ー◆江坂ですね

」
”ス”と江坂しか聞き取れていなかったけど、江坂の地名を知っていたので、情報を共有できた。そして、その情報を聞いてから8か月後、ようやくたどり着くことができた。
ゴルフ練習場やテニスコート、そしてレストランなどレジャー施設に囲まれて、堅牢質素なレンガ造りの平屋建てがポツンと建っていた
ほぼ貸切といっていいだろう。コインロッカーを聞くと、用意がないので受付で預かるとボックスを持ってきてくれた。
その受付で、箱根彫刻の森で紹介された一件を伝えたからだろうか。スタッフさんから笑みが漏れ、館内の拝観ルートや屋外庭園に展示されている女流彫刻家マルタ・パンの作品群をレコメンドしてくれた。
まるでベートーベンやショパンが睨みつける中学校の音楽室のように、館内ホワイエには著名彫刻家の写真パネルが厳かに掲示されている。
ヘンリー・ムーアの『少女の胸像』がしっかりと少女に見えるか、或いは乳首と見えるか、そんな視覚試験を受けたのちに、館内へと歩み進むと、マイヨール、ザッキン、ブールデルと、どうしたことだろう、展示された彫刻と彫刻作家の名前が自然と浮かんでくる。数年前にはありえなかった現象だ。ロダン、ジャコメッティ…
そしてマンズー『枢機卿』は教会のような背景さえ美しい。
マイベストになるだろう。『踊り子』はマリノ・マリー二
マリーニはクソコロナ真っ只中に観覧した、相模原の《光と緑の美術館》から知識を得た。メナード美術館での再会も刺激的だった。
中之島の『踊り子』を見てきたばかりであれば、さらに衝撃的だろう。
スタッフさんに説明を受けていたロッソの『病める子』は、「箱根で同じモティーフを見ているはずです」と予告さえしてくれた。
自慢の屋外展示は、マルタ・パンによって《リーニュ・ブランシュの庭》とネーミングされ、この庭園はアメニティ江坂にやってきた人たちなら無料で散策鑑賞ができるという。
屋外の散歩を済ませて、館内にふたたび戻り、スタッフさんに「もう一度、彫刻鑑賞させてください」と告げると、また嬉しそうに歓待してくれた。
都合、1時間30分
受付に戻ると、手荷物を持ってきてくれたスタッフの手に、資料ファイルが握られていた。

「マルタ・パンの作品がどこにあるか、調べておきました

」
走り書きなので読みにくいですが…のエクスキューズがついた付箋を見ると、読みやすい文字で国内で鑑賞できる作品がメモされている。
これこそが無償のホスピタリティ。
特に尋ねたわけでも、宿題を出したわけでもないのに、チケットを買ってから、今に至るまでの感性が伝わった結果なのだろう。
心からの謝意とスマホからの写メ
これでまた、東京の wish list が幾つか追加された。
そういえば、記憶力のある人というのは、ほんとうにスゴイことにも気づかされた。
クレラー・ミュラーにもマルタ・パンを見た。これが正解なのだから。
どうして、ここのスタッフたちはこんなに歓待してくれたのだろう。
日記を書くために覗いた《スキュルチュール江坂》の評判をチラッと読んだら得心した。
「600円も払って作品が少ない」「15分で廻り切った」「コスパ最低」「ぼられた」…支持するコメントが見つからないほど、ディスられている。
なるほど、神奈川からやってきた”にわか彫刻ファン”ではあるけれど、すべての彫刻に感動しているそんな心持ちが、きっと伝わっていたに違いない。
《スキュルチュール江坂》★5.
展示されているすべての作品が、とても大切に扱われていた。
春になったら箱根へ行って、彫刻の森のスタッフに御礼を告げてこよう。
《カトリック高槻教会》<高山右近記念聖堂>
高山右近の功績を知ろうと、江坂から新大阪経由で高槻へ
こちらに関しては、まだまだ勉強中。
いつか、島原や天草へ行くまでに、そんな歴史も学びたい。
(つづく)

老舗ミニシアター「岩波ホール」が54年の歴史に幕、コロナ禍による営業不振により閉館
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=63&from=diary&id=6808718
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