《栃木5》承前
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この日、朝イチで隈さんの『宝積寺駅』を眺めたあと、いよいよ栃木行のアルティメット・ディスティネーション。
『石の美術館』
オープン10時に5分ほど遅刻したが、来観客はおいらとカップル1組だけ。
そのカップルは地元ナンバーの赤い車で乗り付けた、女子ドライバーとインテリ男子。
動線が重ならないように気を遣い、取り敢えずおいらは受付のおねえちゃんと会話を交わし、展示室への先着を譲ってあげた。

「オーナーにどうしてもって頼まれて隈先生が引き受けたんですけど、やりたくない設計だったと、隈先生ご自身がおっしゃってたそうです」
この場所は名石《芦野石》の産地。

「芦野石の堅さは、大理石と大谷石の中間」なので、フランク・ロイド=ライトがちゃっちゃと石切りしてプレーリースタイルを築き上げたのとは力の入れようが違う。加工のしにくい石材を、それでも隈さんはいい感じに仕上げてきた。

「小さい石蔵が7つ、これがそれぞれ展示室のようになっているのですが、一つひとつ水庭に戻るようなスタイルになってます」
あえて周囲に水を渡したのは、

「石の堅さを、水のゆらぎによって柔らかいイメージを造り上げる」という、隈さんのコンセプト。
丁寧なイントロガイドをいただいたので、いい感じの時間を過ごせそうだ。
企画展は『中村裕紀展〜共振-resonation-』
杉本博司を彷彿とさせる、凪にとどまる海や島をモノクロパネルで展示。
第一展示室の石蔵に入り込むと、この時期、空気の還流が必須なのだろう岩戸はドアストッパーに留められて入り口は開いたまま。
中央のベンチに座って、パネルを観ながらクラシカルな音響との共振を愉しんだ。
すると、受付のおねえちゃんが走りながらやってくる。
もっと語りたい気持ちが隠しきれないのだろう。栃木の女子は積極的である。

「ごめんなさい。オープンしたばかりで閉めるの忘れてました

」
岩戸が閉められて、石蔵に独り。音、スポットライトで照らされたパネル、そしてわずか6�僂棒效任気譴唇果鄒个鯑佑�抜けて、陽光が少しばかり室内に射してくる。Bravo!
《石の茶室》
隈研吾のアーカイブスや美術館立上げまでの記録DVD。
隈さんファンであることを誇りに思う。
先に入館したはずの那須ナンバーカップルは、女子だけが展示室に出入りを繰り返し、男子は水底のテラスで休憩中。ほとんど興味を示していない。まるで、どこかの夫婦のように。
この場合、実は鑑賞している女子がつらい。
彼女にとっては『石の美術館』に来たつもりでも、結局、観たいものも観られず、来ていないのと同じこと。
いつか、同じ感性を持つ彼氏と来るか、それとも一人で来るか。それが幸せ。
ショップを含めて一つ一つが独立した展示室となり、動線がいいとは言えないが、そのおかげで小さな美術館に80分もいることが出来た。
確か、この日は日曜日。午前中の集客は5人ほど。きっと採算度外視の篤志家オーナーなのだろう。隈さんファンなら、潰れる前にいざ。
石の美術館を十分堪能して、11時30分に予約した地元では知らぬものがいない有名店うなぎ屋『丁子屋』
開店の11時30分にして「本日は予約客のみで満席です」の札止め板。
どうしたって期待せずにはいられない。
運ばれてきた『上』の蓋を開け、ほとばしる蒲焼きの匂い。
むむっ、甘いタレと香ばしさがシェアしている。どちらかというと関西焼き。
うなぎのボリュームも肉厚とは言えず、期待先行で評価は厳しく★3.
やはり、ウナギは川崎に限る
(つづく)

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