ねむの木学園の創設者・宮城まり子さんの訃報。
3年前に「こども美術館どんぐり」を訪ねて、些少の寄付をさせていただいてから、毎年クリスマスになると宮城まり子さん直筆コピー(笑)の6枚にもわたる手紙が贈られてくるようになった。すでに病床からの便りは、判読するにも苦心するほどの筆致だったが、学園を思う気持ちにあふれ、ふたたびの厚情を寄せたくなる。
昨年届いたレターには、いよいよ終末期と自覚する刀自の、いつにも増して力強い文章だった。合掌。
ちなみに、宮城まり子といえば吉行淳之介。2人の恋路をよく知るわけではないが、おいら的には火野正平や中村勘三郎や三木武吉と同じぐらいあこがれの男性像である。
(承前)国立のつづき。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1975077860&owner_id=8666179

「このあとの予定は?」

「ギャラリー巡りはこれでしまいにして、国分寺に行ってタンポポハウス見てこようかなって。昨日、藤森照信さんが日本芸術院賞を受賞したから、もし在宅してれば図録にサインをいただきに…」
圧倒的に図々しいが、この幻想が少しだけ奇跡を生んだ。藤森先生に会えたわけでも、サインをいただけたわけでもない。

「国分寺なら児島画廊ってあるよね。あれも、藤森さん

」
さすがはアーチスト畑で生きている同級生。
建築物への造詣はそれほどでもないようだが、画廊の造形をよく知っている。
展覧会が開催されていればと、すぐにHPを調べてもらったら「明日からだった」と残念な回答。
ところが、持つべきは友
廊主との付き合いがあるということで、すぐさま携帯で連絡を取ると、

「明日からの準備をしているので来てもいいよ

」と、明快なお誘い。
学園通りを離れ、中央線2駅目の国分寺。いざ、児島画廊
《トタンの家(丘の上APT)》
2度目の見学となるが、初回は不在の家を不審人物よろしく回遊しておしまい。
電話でのお約束通り、廊主の児島社長が出迎えてくれて、そのままあっさりと中へと通される。
もともとは洋画家・児島善三郎(1893-1962)の居宅で、社長は孫に当たる。

「明日から軸の展覧会。最近は日本の作品が安くなって、著名な画家しか目立たない」つまりは、目の肥えたキュレーターが育っていないとか。
さらには、コロナで閉める美術館が相次いでいることにも、

「芸術は不要不急だなんて真っ先に切られていくけど、良いものを観て感動することで免疫力が高まるもんなんだ

家に引きこもってるほうが身体に悪いやね」
と、川オスの精神が宿ったようなアクティブ持論をぶちかます。逢えて嬉しい
途中から「茅野に行って藤森建築に感動した」という、立川市からやってきたおっさんが入ってきてしまったが、その方にも快く内装写真を撮らせていてフレンドリーなことこの上ない。
立川氏が「藤森先生の自宅がこの辺に?」と尋ねると、児島社長ったらメモ用紙をサッと広げ、まるでイラストレーターの手つきのように直線的な地図でタンポポハウスまでの導線を描いていく。

「あっ、行くなら写メしていいよ

」に、即カシャリ

歳を伺うと、

「藤森さんより2つほど上かな

」の73歳。(推定)
いつも犬の散歩に一輪車を乗り回し、自転車で出かけていく快男児。

「裏手がチョコレートハウスですよね?」と、自宅の外観を尋ねてみると、

「中、入っていくかい?善三郎のリビング見せてあげるよ」と、まさに僥倖。
『チョコレートハウス』
藤森さんが遊びでこしらえた跳ね橋を渡って2階の玄関へとたどり着く。
脱ぎ散らかした三和土には生活感があふれ、そのまま階下へと案内される。
両脇に4,5枚の児島善三郎作品、つまり「門外不出の個人蔵作品」と、正面には友人(画家名を忘れた川オス)の80号作品。
マントルピースは、児島家旧宅(アトリエ)から

「これだけは残したい」と、藤森先生に無理をいって設置した遠藤新設計の一角。藤森照信+遠藤新のコラボレーションがここにある
深々と謝意を告げ、チョコレートハウスをあとにする。
メモしていただいたイラストを眺めながら目指すは日本芸術院賞受賞者宅。
《タンポポハウス》
前回は黒マーチが活躍して、相当に迷ってたどり着いた藤森宅だが、今回はチョコレートハウスから歩いて10分
玄関前には立川氏が屋根を見上げていた。
残念ながら藤森先生は不在の様子…かどうかを確かめる術もなく、ふたたび不審者よろしく他人の家の周りを徘徊して写真を撮る。
この期に及んで、チョコレートハウスに入室できた奇跡を歓喜していたが、立川氏には内緒であることは言うまでもない。(←言わない)
感激のほとぼりを醒ますために西国分寺まで長躯、この日の合計19,000歩
クソコロナなんて逃げ出すほどの体力と免疫力と感動力を携えた。
ありがとう、たくさんの誠意。
【人の誠意を味わえる人になろう】
心を行き届かせていくと、ささいなことに込められた人の誠意にも気付き、自然と感謝が湧いてきます。(読み人知らず)

女優の宮城まり子さん死去
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=6018315
ログインしてコメントを確認・投稿する