
「おとう(←おいら)の行ってきた後は、だいたい災害が来るね。やばいんじゃないの

」
朝から不条理な理論で会話が始まった。
旅に出歩くたびに「天気男

」を吹聴するので、テレビでの豪雨は"天気男が残した因果”らしい。
そもそも夏に出歩けば、どこかで台風や水害が起きるのだから、完全なとばっちりなんだけど、ワイフさんには逆らえない
おいらのコーディネイト(自称)で、今もなお九州北部で頑張っている人たちのために、今朝は早出出勤でエールを送っておいた。偉い。(←おいら)
8月になって2度目の訪福。
勝手知ったる我が街、まずは名門寿司懐石『河庄』で小腹を満たす。
そもそも我が街ではなし、小腹ではなく太っ腹である。
随分と立派な個室に通され、配膳のお姉さん(ほんとうは、おばさん

)に建築家を伺ったら出てこない。寿司とともに建物も売りなんだが、付き出しまでの宿題にしておいた。
付き出しが卓に運ばれて、お姉さんがひと言。「吉村順三さんでした。皇居を設計した

」
個室には箱庭が設計され、枯山水までめでる事ができる。
吉村順三さんという回答をいただいて、ミッションクリアしたのだろうか、結局、付き出しの解説を忘れて退出していった。
椀盛が配膳されると、「先ほどの前菜は・・・」と周回遅れの説明が始まったが、これもまたご愛嬌。きっと、お昼時だけのパートタイマー。とても美味しくいただいているから、大丈夫なのです。
福岡には「世界の建築家通り」という地図に載らないマイナーな観光地があるという。
地下鉄に乗って藤崎駅で降りて徒歩数分。
ももち。このヘンテコな名もなきモノリスがスタート地点。
黒川紀章のインターナショナルスクールを右手に観て、その道を隔ててマイケル・グレイブス。
通りを港へ向かっていって、それぞれ通り沿いに建ち並ぶ印象的なマンションやビジネスビル。
グレイな感じが続くと、東京・仙川の安藤忠雄ストリートに戻った感触にとらわれる。
ほんの2-300mで「世界の建築家通り」が終わり、次を目指すのは「サザエさん通り」。
博多弁のカツオを聞いたことがないので、なぜ福岡でサザエさんなのか知らないまま通り過ぎるが、その前に聳え立つ博多市博物館の雄大さに感激。
博物館に入って国宝を鑑賞するのも一興だけど、おいらにはその時間がない
名刀は国宝展で観ちゃったし、金印は教科書でも習ったから、今回は天井だけ眺めておしまいの巻
バスに乗ってマリノアシティで寄り道の後、いよいよ博多にやってきた主目的の時間がやってきた。最初に書いておくが超BRAVO!である
『レ・ミゼラブル』(博多座)★100.
同級生のご子息の友人が舞台に立つとあって、帝国劇場では観られなかったキャスティングを追いかけてはるばる来たぜ博多座。
ありがたいことにオケピから数えて5列目センター。両端の女子たちがおいらを歓迎する。(自称)
第1幕。
いつも通り、日本語歌詞への違和感を感じながら、それでも伊礼ジャベールの声量に感激し、アンジョルラスたちABCの『民衆の歌』は、香港で集う若者たちが投影し落涙その1。
1幕のラスト『ワンデイモア』が終わり、目じりに浮かんでいた落涙その2を拭き拭きしていると、右隣女子(およそ33歳)から声を掛けられた。マンモスうれP。

「すごいですね

」

「すごいです。初めて・・・ですか?痛くないからね。(←削除)」

「去年来ているので2回目ですけど、こんな近くで観るのは初めてで

」
そういえば、前列の人たちも1曲1曲にしびれている。きっと、こんなに近くは初めてなのだ。
左隣女子はおよそ22歳。まるでタカラジェンヌのように姿勢を正し、微動だにしない鑑賞姿勢。ほんとうにタカラジェンヌかもしれない。
30分の幕間があっという間に過ぎ去り、指定されたシートへ戻る。
ちょっと行き過ぎてオケピに向かってみたりもする

開幕まで少しの余韻。右隣女子にトークイン。

「チケットはwebで取れたんですか?」

「いや、斉藤さんのツテで・・・」
さすが、誰だと思ってるんだ。斉藤さんだぞ。
第2幕。
悲哀の女兵士エポニーヌ『オン・マイ・オウン』。
アクトレスでは森久美子に次ぐ歌唱力。その次がコゼットと続く。(当社比)
右隣で洟をすする音が聞こえてきた。嗚咽。ヒックヒック

みたいな。
そこからが凄かった。
結婚式シーンで斉藤さんと森さんの笑いを除いて、ずっと泣きっぱなし。
このシーン。日本公演ではこれまで起きなかったティナルディエへの手拍子が、博多座全体で始まった。
右隣女子のために指笛もプレゼント。トレンディ・エンジェルだね。
結婚式が終わり、バルジャンが天に召されていく。右隣女子、号泣なう。
ミュージカルでは細微な音までも神経質になる観客も多いけど、なぜだろう、右隣女子の嗚咽はちっとも気にならず、逆に感動のタイミングが同じことが嬉しかった。
左隣はというと相変わらず姿勢を正し、一音も聞き漏らさないという気合が伝わってくる。
前方席でも相変わらず、1曲1曲にしびれ続けているようだ。
さぁ、いよいよ感動の『エピローグ』。
舞台で死んでいったものが集まって、召されていった世界観を歌い上げる。
左隣女子が動いた
ククッという歯軋りとともに、禁断の前のめり。
彼女の右目端から零れ落ちる涙を見逃さなかったおいら。なぜ、ステージに注目しないのだ。
方や、右隣女子は涙枯れ果てて、茫然自失。
そして、「明日は〜」と、壮大なエンディング。すぐにでも立ち上がりオベイションを施したかったけど、カーテンコール3回目の一番手で立ち上がることにした。
右隣女子はもちろん、ハンカチを取り出した左隣女子もともに立ち上がりBRAVOコール。
両手に洟。
4月帝国劇場で鑑賞したフォンティーヌと同じキャスティングだったに違いないのは、ほんの少しあれだったが、九州まで飛んでやってきた博多座は凄かった。そして、素晴らしかった。
5回目のカーテンコールが去り、客電がともる。
左右の華との別れのとき。
特に右隣女子とのラストトーク。

「1年分、泣いてましたね

」

「もうダメです。しばらく余韻を楽しんでいきます

」
どっぷりとシートに沈み、遠い目でステージを見つめていた。
レミゼラブルマニアがどんどん増えていく。
ウエストエンドまで追いかけていくおいらの気持ちも、躊躇なく理解してもらえるだろう
(つづく)

九州北部大雨で大雨特別警報
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=5765723
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