父の日、コンテニュー。

昨夜、熟睡おやじ(←おいら)よりも遅く仕事から帰宅した三女ちゃんからは《DEAN&DELUCA》のミントチョコボール+チョコミントドリンク

お父さんの大好物をよく知ってくれている

6月18日

帰宅前にセブンイレブン矢向店に寄り道。ちなみに「矢向」とは、横浜市鶴見区の町名で、我が家から離れること2kmぐらい。
用事を済ませて黒マーチ発進とエンジンをかけると、駐車場に傘もささずにたたずんでいたおじいさんが寄ってきた。
10円玉を手のひらに数枚持って、ハンドルを持つおいらに何か話しかけている。
ウインドウを下げると「電話を貸してくれないか

」というお願い。
セブンの軒先で煙草を吸っている人や、雨宿りしている人々には声を掛けたのだろうか、それとも直接、黒マーチにやってきたのだろうか。
少しろれつが心もとない。
たまたま助手席に置いておいたガラケーを手にして、おじいさんに掛けたい番号を尋ねる。ダイヤルをしてあげて渡せばいい。

「044599××××」
んっ、この局番って、我が家と同じじゃん。
すなわち、このおじいさん、同じ町人ということだ。
電話がかかり、話し出したおじいさん、どうにも話が通じていないようだ。
相変わらず黒マーチの隣に立って電話をしているから、耳をそばだてなくても会話が聞こえてくる。
”北加瀬””和菓子屋”この2つのキーワード。ふと、おじいさんが持っていたビニール傘の柄を見ると”〇〇”の苗字。
これら3題噺で、おじいさんが誰なのか、そしておいらはこれから何をすべきなのかがつながった。

「もしかしたら、北加瀬の〇〇屋さんですか?」

「そうそう、〇〇屋。今日ね、用事があって出かけたらどこだかわからなくなっちゃったんだ」

「よろしかったら、お店まで送りますよ

」

「あっ、ありがたいなぁ。今日ね、用事があって出かけたらどこだかわからなくなっちゃったんだ」
おじいさんが創業した地元では名匠の和菓子屋さん。
ここからは、我が家よりも遠く、おじいさんの足で歩けば1時間はかかるのではないだろうか。
助手席に彼を載せて、シートベルトを掛ける。
まるで、1年前、我が父親にそうしていたように。
黒マーチを走らせて、助手席のおじいさんに語り掛ける。
彼の答えはほぼ2つ。

「今日ね、用事があって出かけたらどこだかわからなくなっちゃったんだ。お店は息子たちがやってくれているよ」
年齢を尋ねると昭和7年生まれ。
ご子息がおいらの1つ先輩であることは、きっとこのお父さんは知らないだろう。
外に降る雨は本降りになっている。
父親を黒マーチに乗せて、思い出作りの近所周りをしていたころのようだった。
成立しない会話にも、心は通じ合う。
目的の和菓子屋さんが見えてきた。

「ありがとうね、うちのお菓子持って行ってよ」
もちろん、遠慮なく。父の好きなどら焼きだから、喜んでいただきたい。
店は閉まっていた。
近所の方のお通夜があるから、きっと早じまいなんだ。
道端に車を止めて、おじいさんの後について玄関のベルを押す。
とても気品高いおばあさんが、驚いた顔で出迎える。

「おじいさん、どこに行ってたの!心配して、いま娘が探しに行ってるわよ」
おいらの姿を認めて、ひと言。

「あら、あなたタクシーの運転手さん?」
スーツを着ていたが、帽子は被っていない。

「いや、矢向のセブンイレブンで電話を貸したら、話の中で〇〇屋さんのご主人だということがわかりまして、お連れしました。私、北加瀬の〇〇の家の隣に住んでいる川崎オスカーです

」

「あっ

××さん(←父の名前)のところの!あら、まぁ。ありがとうね。本当にありがとうね」
心からの感謝というのは、こんな感じなのだ。
おばあさん、涙を流して握手を求めてくる。
うちの父とご主人とはPTAや民生委員で一緒に仕事をした仲のようで−残念ながら、おじいさんはこの話題を、誰か他人の話として聞いているけど−我が母も少し前にお店でどら焼きを買いに来てくれたばかり(おばあさん談)という近しい縁。
たとえ、おいらとおじいさんの出会いがなくたって、どうにか自宅へたどり着ける結末は同じなのだろうが、駐車場での奇跡的な出会いにはおいらの方から感謝したい。
そういえば、近所のおじいさんを助手席に乗せて自宅に送り届けたのはこれで2回目。
お土産にいただいたどら焼きを仏壇に乗せて、この顛末を母に語る。
積善余慶。すべては尊敬する父のお陰。
余談。
前段がある。
金曜日にスーツの上着を映画館に忘れていたことが発覚し、仕事(自称)あがりの夕刻、ラゾーナ川崎へピックアップ。
警備会社のおねえさんがやってきて、スーツの忘れ物があったこと、ポケットの中身を伝えてほしいことを告げられて指示に従う。
二つ折りのガラケー(ビジネス用)、メモリースティック、そして名刺入れ。
手元にある免許証と照らし合わせれば、おいらのものだと1万人が1万人とも理解する。
心からの謝意を告げ、受け取りのサインを施して、ラゾーナをあとにした。
そういえば、財布に入れてあった十数枚の一万円札をカード入金しておこう。
帰宅中の黒マーチは駐車場の広いセブンイレブン矢向店へ向かい、セブン銀行で用足しを終える。
運転席についてエンジンをかける。
その前に、3日間放っておいたガラケーの着信履歴を確認しておこう。
コンコン

ふと叩かれたウインドウの外を見ると、傘を肘に掛けたおじいさんが、小雨に濡れながら立っていた。

「「電話を貸してくれないか

」

固定電話以外にも 携帯にも掛かってくる特殊詐欺電話に要注意!
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=159&from=diary&id=5160945
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