一昨年の冬に独り立ちした長女ちゃんに続き、2018年、次女ちゃんの独立宣言受諾。
おおむねこのような宣言は、ワイフさんが忘年会や新年会で出掛けている夕食の団欒時にカミングアウトされる。絶対にNOと言われないことを知っているからだろう。
渡された物件情報を見ると、聞き覚えのある地名にピンと来た。

「家を出るのはOKだけど、その辺の相場や雰囲気がどんな感じなのか。おとうの友人がその辺の大地主だから、聞いてきてあげるよ

」
頼りになるお父さん(←おいら)である。(←自称)
高校時代の友人が、その地区の不動産屋にいることを知ったのは昨夏ごろ、全くの偶然だった。
ご朱印をいただきがてらに参拝した神社で、いつものようにいきなり親しげに禰宜さんと話し始めると、同級生が付近で働いていることが判明する。
もともと、地主の長男であることを知っていたし、高校時代は彼の風情ある大邸宅で遊んだこともある。そんな切っ掛け。
我が家から黒マーチで30分
借りる予定の物件外周を見て"合格”と得心したあと、くだんの不動産屋さんにアポなし突撃。
店内にいた社員さんに名前を告げて、取次ぎをお願いする。
在社のようだ。
長身(当社比)、色白な彼が社長室のドアを開けて、頭を下げながらやってきた。
店内のBGMにクラプトンが流れている。

「クラプトンだね、センスのいいBGMだ

」

「インターネットラジオだけどね

」

「相変わらず可愛い顔してるな

」

「大人の顔つきになったね

」
お互いの見てくれを言い合いながら、36年ぶりの再会を果たす。
これまで、何度か同期会を開いているが、彼の連絡先を探しもせずコンタクトも計っていなかった。
今、思えば地元の地主なんだから、家を訪ねれば会えることは必定なのに、ダメじゃんな幹事。

「高校時代、友だち少なかったからな」

「帰宅部だったしね」
全世界の帰宅部を敵に回す
彼とは高校2年時の同級生。
AORの趣味が合い、ビリー・ジョエルやホール&オーツ、そして恥ずかしい過去をカミングアウトするとクリストファー・クロスまでも、彼とともに観にいっている。
前座に出てきた佐野元春さんに対して、「ひっこめ〜」と言ったのは、彼とボクであった。
ごめんなさい、元春さん
彼にとって初めての彼女と引き合わせたのもおいら。
修学旅行での告白という昭和時代の青春ドラマみたいなシナリオを描いて、見事に成功。
告白前の飲み会

では、

「振られたら、オレ死ぬからな〜

」と涙ながらに語っていたことを、聞き耳を立てている社員さんにばらす事は、さすがにできなかった。

「昔からアタマ良かったもんな〜

」
多くの友人たちからそんなことを言われるが、決してそんなことはない。
久しぶりに会って、調子よく過去を語っているものだから、誰もが記憶の誤謬に陥っていく。
なんの約束もなく(高校時代の友人とはいえ)36年ぶりにいきなりやってきたら、
〜これが自分だったら〜きっと、カネの無心か、変てこな宗教や、黄色いボトルに入った健康食品の勧誘じゃないかと、いささかの抵抗を覚えるのがこの社会。
しかし、そんな心配すら微塵も及ばないのが“良い人オーラ”100テラバイトのおいら。

「今日は2つの用事で来たよ

」
11月に開催される同期会の案内と、次女ちゃんの希望する物件の調査。
初めての同期会参加の確約と、物件相場が適正であることが40分の会話の中に盛り込まれた。
次女ちゃんの決断が産んだ、旧友との出逢い。
感謝。
やがてやってくる一人暮らし、頑張れ

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