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2016年04月20日22:20

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三浦綾子の言葉

「傷痍なき人生は恥」

 この言葉を、わたしは療養中に人に聞いた。誰の言葉か、わたしは知らない。が、若いわたしの心を激しく揺さぶった言葉である。もし人が生を享けて、何の傷もその身に受けたことがないとしたら、それは果たして名誉なことであろうか。
 人と人とのつき合いを見よ。裏切られる人間は常に真実な方である。つまり真実な人間は、人を裏切らない。裏切られるだけなのだ。 恋愛も真実こめての恋愛ならば、もし、それが破れれば、傷もまた大きく且つ深い。一つの恋が失われても、痛くも痒くもないとすれば、それはもはや、恋とは呼べない。そんな恋ならしない方がましだ。  
 歩いていて転ぶ時と一生懸命走っていて転ぶ時と、いずれが痛いか。いずれの傷が大きいか。
 傷は一生懸命に、真実に生きたことのしるしだ。無論、無鉄砲、無考え、不真実の故に受ける傷も、ないではないが。

(綾子)『太陽はいつも雲の上に』
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